★『大事なこと、ノート』を刷新、PDF版に。あなたの後期医療を託す《医師へのお願い書》付き。延命について考えてほしい!

協会の業務

2016年11月に出版した 『大事なこと、ノート』 を刷新した。 エンディングノート的な要素をばっさり削り、最後の医療について徹底的に考える『生き切るために使うライフ版』だ。64頁では長すぎるので半分に。冊子になっていると書き込みにくいのでPDF版として、自由に印刷できるようにした。延命について私の想いを込めたノートにした。

目次

終活ばやり、あなたの“命が軽い時代”に想うこと

ひところエンディングノートばやりだった。
日本人は自分の死と向き合うのは苦手だ。
一方、義理を欠くことを恐れる国民性もあって、『家族に迷惑をかけないように』と自分の葬儀についてあれこれ考え、家族にたくさんのメモを残した。
悪いことではないと思う。死後のさまざまな手続きに思いをはせ、事前に段取りしておくことは。

しかしこの流行、肝心かなめの自分の命が軽い
エンディングノートがきっかけになったかどうか知らないが、急に「延命拒否」という言葉を聴くようになった。
「私は“延命のための延命”は拒否」と、ふだんから口にする人がでてきた。
「本気ですか!?」と私は思う。
そんなに簡単に、自分で命の多寡を値切っていいのかな
いつの間にか世間に、
「高齢者はチューブにつながれっぱなしの延命なんか望まないよね」
といわんばかりの空気が漂ってきたように感じられた。

命を預かる医師までが「どうしますか? 一度(胃ろうなどを)設定すると長くは生きられますが……」
と、暗に家族に《それでいいですか?回復はしないしこの状態が長くなるだけですよ……》と言わんばかり。
まるで「コスパが悪いですよ」と、念押しして「決断」を促しているみたいだ。
母は85歳を越え、父は90歳になる直前に、寝たきりで鼻からチューブで摂食する状態となった。

私だって考えた。《自分だったら》と。
自分でも思い切れない。
威勢よく「鼻からチューブ刷くらいなら、スパッと断食して死なせてくれ」なんて……とても言えない。
自分が作ったエンディングノート風『大事なこと、ノート』が忌々しくなった。
だから、ノートを作り直そうと思ったのだ。
延命拒否でも、本気の本気でそうしたいなら止めはしない。
しかし考え抜いて結論を出すべきテーマだ、と私は思う。

こんなノート、世界中探してもたぶんないだろう。
人生高齢期、自分の命をどうするか、今元気なあなたもこれから何が起きるかは分からない。
どのような場合にどうするか、徹底的に考え、自分の答えを出したらいいと思う。
PDF版だから気が変わったら、いつでも書き換えられる。
いい最期を迎えるのは、見事に生き切った証拠
くれぐれも短絡に“命を捨てる”覚悟なんかしないように、このノートを役立ててほしい

※以下、長文です。『ノート』の中身だけ知りたい人は下の見出し[3.■「延命」に私の想いを載せた]からお読みください。

■いきなり”鼻からチューブ”の選択

「延命」に対する私の考え方は、昨年(2016年)1月3日を境に180度変わったんです。
その日、父が脳梗塞で倒れました。
5日後医師から、鼻からチューブを入れて栄養を摂る「経鼻胃管栄養法」をするか打診されました。
父は右半身がマヒし、嚥下障害が強く出ていました。

《いきなりかよ……》
母は3年前から鼻からチューブの栄養法により生きています。
長い経過があってそうなっています。今、意識はまったくありません。
そういうことがあるものだから《いきなり⁈》と思ったのでした。

ジェットコースターみたいな父の“回復”と“挫折”

あれから1年たちました。振り返ると───
父は発病から3週間で退院し、リハビリ病院に転院。
訓練に熱が入っていた3週間後、誤嚥肺炎により生死の境に。
それも3週間でなんとか回復、また訓練に復帰しました。
3か月後には”鼻からチューブ”を脱し、自力で摂食できるように。
奇跡のような回復ぶりでしたが、さらに7か月後、口から食べるとむせることが多くなり、また鼻からチューブに戻りました。
一進一退。完全回復はないのかもしれません。

以前の私はこういう話に興味がありませんでした。
「それで生きている価値があるのかなあ」
問われれば、そう答えていたと思います。
しかし今、1年当事者として父と接してきて思うのは
《いくつであっても「これでお仕舞いでいい」はないな
ということです。

リハビリ病院は《生きる!》に満ちている

リハビリ病院では目を見張りました。
活気に満ちているんです。
絶望病棟ではありません。
歩行器で歩ける人はエリート、車いすを操れる人は優等生、それ以前の重度の人がいっぱいいます。
しかしみな真剣。
患者も、療法士たちも、医師も看護師も。
そこは”希望の世界”です。

4か月目、父は老人保健施設に移りました。
少し活気は落ちたけれど、落ち着いた日常があります。

 

■父の病で心の距離、縮まる

私と父とは、仲の悪い親子でした。
40年も同居してきたのに考え方、生き方がまるで違う。
いつも父を批判的に見てきた。
最近は父の衰えもあって、まるで”叱り役”のようだった。
それが、病院に、施設に通うようになり、少しずつ変わってきた。

父は意識はありますが、言葉は出てきません。
リハビリ初期には懸命に発声していましたが、聴き取る側としては難しく、意思疎通がうまくいかないので、そのうち父は話をしなくなりました。
代わりに文字盤を使っての”会話”です。
通じないけれども、距離は近くなったと互いに感じています。

医師から「鼻チューブ」を打診された時、驚きはしたものの「お断りする」という選択肢はまったく浮かばなかった。
私は延命拒否論者であったのに……。
理由は父の目です。
「俺は生きているゾッ」と語っていました。

《そりゃ、そうだ。オヤジ、分かったよ》
そう思ったのです。
延命もヘチマもあるか、生きたいという人を止める権利なんて、誰にもありはしない!

いつまで父の闘病が続くのか、皆目見当もつかない。
しかし気力の衰えない父は生きる権利がある、と私は思っている。
この1年、グチも嘆きも聞きませんでした。
《根性、座ってるなぁ》と敬服します。

 

■「延命」に私の想いを載せた

さて、ノートです。
今の私の気持ちをそのまま文章にしたので「延命」については強く”私の想い”がにじんでいます。
年齢によって命を値切るようなことはおすすめしたくない!
かなり主張の強いノートになりました。

「■大事なこと改訂

『大事なこと、ノート』改訂版

[3-11ページまで]
いわゆるエンディングノート的な「私のプロフィール・履歴」「住んだ場所」「年金・預貯金・ローンや借金・有価証券・生命保険・不動産」「私の健康状態・持病・かかった病気・使っている薬」「私の身元保証人・身元引受人」。
一方、葬儀や供養、お墓についての指示・要望等は5刷りに際し、削除しました(市販のエンディングノートで十分なので)

[12ページ]相談できる人
病気や入院の時に相談する人 (個人名をあげる)
入院時の身元保証人(個人名) 手術の時などの身元引受人(個人名)

ここからは、ページの内容をそのまま掲載します。(茶色の太文字は今回挿入した「見出し」です)
[13ページ]

闘病

この項で扱うのは「死に至る病」にかかったときのあなたの対処法です。

死因の上位に出てくる病気は、▼がん、▼心疾患、▼脳血管障害、▼糖尿病など。
これらの病気は、病院や医師の治療方針によって、また患者自身の希望や心構え、人生観などによってさまざまな治療形式が選ばれ、“闘病の形”は人によって違ってきます。
あなたは病気とどう向き合いますか? イメージしやすいよう下に選択肢を示しますが、最終的にはあなたの言葉でどのような治療を受けたいのか、書いておくべきです。

選択肢は多様です、どうしたいかを自分で考えてください

<治療方針について>

  • どんな状況でも病気と闘い、寿命があるなら治療を受けまっとうしたい
  • 不治の病であるならお金のかかる先端医療は望まない
  • 治癒が見込めないなら手術はしてもらいたくない(積極的な治療は望まない)
  • 病気のことは病院や医師の判断にお任せする
  • 病気に関するあらゆる情報を知らされることを望む、セカンドオピニオンも求めたい
  • 今後の治療方針についてはしっかり説明を受け、わたし自身が判断したい


<あなたが大切にしたいこと>

  • 病と闘い生きられる命を大切にしたい
  • 治療や処置については十分知らされ、自分で選択できること
  • 生活の質(声を出せる、口から食べられる、意思表示ができる)を落とさないこと
  • 病院や施設より、なるべく自宅で療養・看護を受けること
  • 認知症や老化で意思能力がなくなった時には自然に任せること
  • (  歳)まで、(例:孫が成人する)までは生きたい ※そこまでは積極的な治療を
  • 末期に「痛み」があるとそのことばかりに気を取られるので、痛みは緩和してほしい

<最低限の希望>

  • 最後は自宅で死にたい
  • 治療、延命より“生きている日々”の質を高めたい
  • 病気などで衰弱し、意思能力がなくなったら看取りの医療に切り替えてほしい

 ★闘病の形b

 

(自由記述)

 

[14ページ]

告知と延命

「あなたの闘病の形」がイメージできたら、次は「告知」の問題を考えてみましょう。「告知」が問題になるのは、不治の病であると判断される場合です。代表的なものは「がん」。また成人病である心疾患や脳血管障害、糖尿病でも重篤な場合は治癒困難となる可能性があります。医師が病名を告げるのは、その後の治療をしやすくするためです。最近は本人に告知する場合が多いですが、家族などにあなたの意思を伝えておけば、病院側も配慮して対応してくれます。
あなたの意思をノートに書き、しかるべき人に伝えておきましょう。

<病気の告知について> 

以下は、判断材料の一例です───

  • 不治の病であるなら病名を告知しないでほしい
  • 病名は告知してほしいが、不治であるなら余命は知りたくない
  • 余命が______年以上ある場合は、病名も余命も告知してほしい
  • 治癒する可能性があるなら、病名と現状と今後の見通しを詳しく知りたい
  • 病名と治癒の可能性、または余命の目安を知ったうえで、今後の治療方針については自分で選択したい
  • 病名や治癒の可能性を知ったうえで、今後の治療・対処方針は医師の判断に任せる
  • 病名や治癒の可能性、余命などはすべて家族に話し、わたしには知らせないでほしい
  • ありのままの事実と、その事実に対する医師の判断を聞かせてほしい
  • わたしの状態はすべて伝えてほしいが、セカンドオピニオンも聞いてみたい

★告知について

 

★この病気について相談できる人(親族や友人、医師など)

(記入欄あり)

★病名や「余命」告知についてあなたの思うところ
(自由記述)

■「延命」の定義が“雑”なまま、措置される医療現場

[17ページ]

★延命措置

 

延命治療と言えば、❶心肺蘇生装置や心臓マッサージ、人工呼吸器の装着。栄養面では、❷胃に直接穴を開け栄養剤をチューブで流し込む胃瘻(いろう)や鼻からチューブの胃管栄養法などが思い浮かびます。
❶について、心肺蘇生装置や心臓マッサージは、してもらわなければ直ちに死に至ります。人工呼吸器は、装着すれば後から外すことはできません。即、死に至りますから医師は殺人罪に問われてしまいます。一方、❷の胃瘻や鼻からチューブは、栄養が回復し身体の状態がよくなれば外すことも可能です。チューブのままリハビリを行うことも、無理ではありません。
❶と❷はどちらも「延命措置」といわれています。実は、それは大きな問題含みだ、と私は考えます。「私は延命拒否」などと家族にいったり、書面に残したりしていると、今の医療チームは延命措置をする方向には動かなくなります。だから、こちらが承知して書き分けなければいけないんですよ、本当は。
しかしその点、雑です。私たちも、医療する側も。2つの本質的に異なる延命措置・延命治療が、区別されることなく「延命を望む意思なし」と取り扱われるのです。
※ここは今回、この記事のためにかなり≪解説≫を追加しました。赤字の部分は、特に重要です。

■「延命」について考える4つの場面

「延命」を真剣に考えるなら、最低4つのケースで対処方針を決めなければなりません。

  1. 脳卒中や事故、重病で意識が鮮明でないような急性期
  2. 治療をしてきたが回復せず、ついに死期を迎える終末期
  3. 老化や病の進行、病の性質により通常の食が摂れなくなる慢性期
  4. 認知症の進行や老化で意思疎通が難しくなる老耄(ろうもう)期

4つの時期を例に挙げましたが、症状や状況が重なり合ことが多く「死期」の判断は非常に難しいです。しかも1、2の時期と3、4の時期では「延命」の意味がまったく違います。急性期の意識で簡単に「延命拒否」とは言わないでくださいいくつになったからもう延命はいらない、という発想も、あなたが今元気だからそう言えるのだと思います。高齢期に口から食べられなくなることは症状の1つであり、それが死に直結する「末期になった」ということではありません。
ですから、命の終わりをどうするかについては、冷静に真摯に考えてから決断を。急性期のイメージのまま「延命拒否」と書くと、まだ生きられるのに命を縮めることになります。

あなたが選ぶ治療法が「寿命」を決めるのです

≪急性期 や慢性疾患などの 終末期≫

  1. あらゆる手立てを尽くして命を少しでも長らえさせてほしい
  2. 手術が必要なら手術をしてもらいたい(先のことは考えずに)
  3. 手術をしても社会復帰が難しいなら、静かに余命を生きたい
  4. 死期を遅らせ命を延ばすだけが目的の医療は拒否する(「尊厳死」に当たります)
  5. 鼻からチューブや胃ろうは回復過程ではやむを得ないが、回復が困難であったり、私の意思能力が回復しないときには点滴などに換え、自然に任せてほしい
  6. 重篤な場合は集中治療室(ICU)での治療を望む
  7. ずっと集中治療室(ICU)にいなければならないなら、治療を中断するか、代わりの治療法に換え、一般病棟に戻してほしい(経済的な負担が心配)
  8. 危篤になったときは心肺蘇生術(気管挿管や心臓マッサージ)を行ってほしい
  9. 危篤に陥ったときには自然に任せ、命を無理に引き戻す治療はしないでほしい
  10. 私が   歳以上の場合は、手術も高度な医療も受けたくない
  11. 認知症や病気の進行で家族のこともわからない状態なら、手術はしないでほしい
  12. 経済的なこともあるので手術はせず標準的な医療にとどめてほしい
  13. 病が末期なら治療はしなくてよい、痛みをやわらげる措置だけをお願いしたい
  14. 自宅で倒れたら救急車を呼ばないでほしい。病院で倒れたら救命処置は不要

高齢であっても、自ら選べる命の質と長さ

 ≪老化が進んだとき≫

  1. ずっと意識がなく、回復の可能性がないなら、延命措置はしないでほしい
  2. 私に意識があるなら、口から食べられなくなっても胃ろうや胃管チューブで生かしてほしい
  3. 私に意識があっても、胃ろうや胃管チューブで栄養を摂る措置は不要だが、中心静脈栄養法はお願いしたい
  4. 私に意識がある場合でも、中心静脈栄養もとらず栄養補給は普通の点滴にとどめ、自然に任せて静かに死を迎えたい

■「尊厳死宣言書」は特定の病いについての治療拒否

[18ページ]
私の生と死については自分で決める

リビングウィル<生前に効力を発生する“遺言”>という考え方があります。
医療は本来「命を救うこと」を至上命題としています。しかしがん闘病の末期や、認知症や老化の進行で意思能力が失われたときには、「これ以上の延命は望まない」という選択肢もありえます。
リビングウィルは生前に、終末期の治療方針について自分の意思を表明しておくものです。このうち、延命が中心となる治療を拒否することを「尊厳死」といいます。ただ前のページに書いたように、闘病末期と老化の進行による延命措置の実施では、まったく意味合いが異なります。「老化の深化=死期迫る」ではありません。その辺をお考えの上、尊厳死宣言書や事前指示書などでご自分の死期について希望を述べるかどうかを、ご判断ください。
「尊厳死」は医師に治療行為をやめさせることですから、重大な決断です。
また日本の刑法では、治療の中断・放置は殺人罪に問われかねない行為なので、医師を動かすだけの“断固たる意思”がなければ医療側を混乱させてしまいます。「尊厳死宣言書」だけでなく、(意思能力を喪失した)あなたに代わって意思を伝えてくれる人がいた方がよいでしょう。

「尊厳死宣言書」に盛り込まれる主な内容
・病気が不治であり、死期が迫っている場合、延命措置は不要
・苦痛を和らげる措置はしてほしい
・家族と証人数名の署名捺印
・延命措置中断の責任の一切は「わたし」にある
・この「宣言」はわたしの意思能力があるときにした

※「 尊厳死宣言書 」 は公正証書で作る場合もありますが 、 決められた書式があるわけではありません 。 一般社団法人日本尊厳死協会のほか 、 静岡県 家族信託 協会でも作成を支援しています 。重篤な病の最終局面で延命治療を拒否したい強い意思がある場合は、 ご相談ください 。

尊厳死宣言書・事前指示書

 

持っている(保管場所            ) ない
★「延命治療拒否」の私の意思を代弁してくれる人 (緊急時の連絡先)
 氏名       続柄・間柄     連絡先                                                                                                        
※複数が望ましい
もしもの時のために 医師へのお願い書という選択
チューブにつながれて生きるのはイヤ、 と 「 私は延命拒否 」 という人が大勢います 。 胃ろうのイメージが強烈なのでしょう 。 しかしこの人工栄養はかなり有効で 、 回復する場合も少なくありません 。 「 意識がなくなってからも延々と生きさせられるのは困る 」 というなら 、その時には人工栄養をやめる 、という選択肢もあります 。 次ページに 「 お願い書 」 の例を示しました 。

■医療側に「私が望む治療方針」を伝えておく

[19ページ]
このページこそ、私が『大事なこと、ノート』を全面改訂した理由である。
なので《ページのイメージ》を分かっていただけるよう、ページを丸ごと掲載した。
18ページでは「尊厳死宣言書」について書いた。強くおすすめする気はない。
私の主観だが、「死期が迫っているから治療はやめろ」という物言いが“乱暴”に感じるのだ。
時代背景も以前とは違うと思う。今は事前に医療スタッフに「病い末期の治療はこのように。最末期には通常治療はしないでください。痛みの管理だけお願いします」などと伝えておけば、医師はきちんと判断してくれる。
医師への説得より、家族に自分の意思を十分に理解してもらう方が重要だと思う。

だから今回は、あえて「お願い書」とした。
自分の最末期の医療で起こり得ることを想定して、「自分はこうしたい」を書けるようにしたつもりだ。
専門用語が入って分かりにくいと思ったので、《私はこのように選択した》を書いておいた。
あくまで私の主観。あなたはあなたが思うところを書いてほしい。

私の後期医療に関するお願書

 

◎私の死期に際し望むこと(お願い書)

※あくまで私(石川)が書くとしたら……、の例です。百人百様かと思います。
<私の死生観>
私は自分に意思能力があり、わけても分筆能力がある限り、生をまっとうしたいと思っています。
認知症を発症していても、それのみをもって「延命措置停止」はお願いしません。

<「延命」判断の4ケース>

①病院に救急搬送時

心臓マッサージや人工呼吸器装着など、迅速で懸命な、あらゆる救命措置を行ってください。

②がんなど治る見込みのない病気の末期

  • 心臓マッサージ気管挿管などの心肺蘇生 → 希望します
  • 救命のために人工呼吸器を装着すること → 希望しません
  • 心臓を正常調律に戻すための除細動(AED) → 希望します
  • 点滴や胃瘻、鼻からチューブによる栄養補給 → 希望します(しかし、意思・判断能力・外界への反応がすでに失われている場合には不要です)

※苦痛をやわらげるための処置は、最大限に行ってください。

③脳梗塞などの病気や事故などにより慢性的に重篤な状態にあるとき

皮下点滴、栄養補給のための中心静脈栄養経管栄養(胃瘻増設や鼻からチューブ)は、私の意思能力がある限りは行ってください。
可能ならば「胃瘻」を選択したいです。
しかし②で書いたように、外界認識能力さえ失われた場合は、経管栄養を中断して皮下点滴に換えるか人工栄養の量を減らすなどして、自然に死を迎えられるようにしてください
なお、急変時や最末期の心臓、呼吸器については②に準じることとし、救命よりは苦痛を除く措置をお願いします。

④老化により終末期を迎えているとき

<読み書き能力や意識がはっきりしているとき>

経管栄養を含め、現状維持のための措置を行ってください

<著しく意識レベルが低下したとき>

身近な人を認識できず、外界からの刺激にも反応しなくなったときには経管栄養を中止して皮下点滴に換えるなど、自然死に向けての措置に切り替えることを強く要望します。

<最後は私の家族とご相談ください>

私の医療を担当してくださる皆様に、深く感謝申し上げます。
さて、以上が自分の治療に対する私の考え方と希望ですが、最後にお願いがございます。私の命が旦夕に迫っていると判断なさったときは、私の家族に状況を説明し、最後の判断は家族にさせてください。
家族は私の思いをくみ取った上で、延命措置停止のタイミングを決めてくれるものと思います。私のその時の姿が、彼らに「答え」を教えてくれるでしょう。
令和5年2月8日 (書名とハンコ)
▼▼▼「後期医療に関するお願書をどう書くか」コチラの記事でさらに詳細に触れています。

★《決定版!》最期の医療へ「私のお願い書」、軽々しく「延命拒否」とは書かない!!

[19₋30ページ]
『大事なこと、ノート』後半には、▼ひとり身の対策▼介護▼認知症▼家族信託▼成年後見との比較▼遺言―などにページを割いています。

■   □   ■

★PDF版『大事なこと、ノート』を作りました!

「延命は拒否する」と言うのは簡単ですが、命を投げ出す”予約”を健康な今のうちに自分で決めおくのがいいのでしょうか……。
老後は長いです。平穏に生きていることでさえ、実は容易ではない。
そんな自分が、いきなり死期や死後のあれこれについて注文つけるのは早計。
もっと考え尽くしてから、決めるべきかと思います。

一方、周囲の人が調べ直さなくて済むように、私の死後の煩雑な事務については、必要にして十分な個人情報を開示しておくべきでしょう。
なので、エンディングノートではなく、「大事なこと(を告げておくための)ノート」を作りました。
よろしければ、あなたに差し上げます。
考えるきっかけにしていただければ幸いです。

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※PDF版なので、必要ページを印刷してクリアファイルなどに保存してください。
気持ちが変わった時には、いつでも書き換え、追記できることが「利点」かと思います。
保険証・介護保険証・生命保険の証書・権利証なども一緒に保管しておけば、文字通りあなたの『大事なこと、ノート』になるでしょう。

『大事なこと、ノート』の詳しい解説はコチラ▼▼▼をご覧ください。

■   □   ■

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<初出:2017/2/12 最終更新:2023/10/26>

静岡県家族信託協会
行政書士 石川秀樹(ジャーナリスト)

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この記事を書いた人

石川秀樹 行政書士

石川秀樹(ジャーナリスト/行政書士) ◆静岡県家族信託協会を主宰
◆61歳で行政書士試験に合格。新聞記者、編集者として多くの人たちと接してきた40年を活かし、高齢期の人や家族の声をくみ取っている。
◆家族信託は二刀流が信念。遺言や成年後見も問題解決のツールと考え、認知症➤凍結問題、相続・争族対策、事業の救済、親なき後問題などについて全国からの相談に答えている。
◆著書に『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』。
◆近著『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』。
《私の人となりについては「顔写真」をクリック》
《職務上のプロフィールについては、幻冬舎GoldOnlineの「著者紹介」をご覧ください》

 

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「鎌倉新書」が運営するサイト「相続費用見積もりガイド」に私の事務所をページを設けました。
私は家族信託遺言を中核ツールとして全国で《相続対策》を行っています。
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