★コスパもタイパも最悪。後見人は1000万円の報酬に見合う仕事をしているか? 民間でこんな甘えは許されないぞ!

成年後見

以前、《★成年後見の生涯コスト1000万円超 (家族信託の10―30倍だ) !本人も家族も不満な制度は改めなくてはいけない》というブログを書いた。

しかし、もっと重要な視点、注目すべき論点があることに気がついた。
内容が少しかぶるけれども、書き換えた理由を解説したい。

■1000万円が「衝撃」ではなく、見合う仕事をしてるのか

当初このブログを書いたとき、私は専門士業の後見人に支払う報酬のランニングコストに着目した。
「ランニングコスト」というのは、成年後見は被後見人が亡くなるまで続く制度なので、報酬支払い期間は数年とか、十数年に及ぶ。
だから生涯のランニングコストを計算すべきで、それが時には「1000万円」を越えることを明らかにした。
そして「1000万円」という数字に我ながら驚き、「衝撃!」という見出しをつけたのだった。

しかし最近、この記事を読み返したとき、<テーマが違っていた!>と感じた。
何が違うのかと言えば、金額の1000万円を「衝撃!」としたことだ。
生涯の療養介護費用が1000万円超となることはザラにある。
あるけれども、施設や病院ではスタッフが、夜中でも姿勢を直してくれ、緊急事態にも対応してくれる。
そんな施設や病院なら、家族は感謝することはあっても、月額費用を「高い!」と言ったりはしない。
(だから「1000万円」というお金の多寡自体にはそれほどの意味はない)

問題にすべきは、「1000万円に値するサービスや付加価値が今の成年後見制度にあるのか」ということなのだ。
後見人等たちは、1000万円に値する仕事をしているか。
財産管理において・・・・・。
身上監護において・・・・・。
本人や家族はコストパフォーマンスの良さを実感しているのか。

 

■財産管理の報告、家族にはしない

成年後見では、専門士業の後見人たちは年間数十万円、いや、▼遺産分割に関与した、▼不動産を売却したなどで数十万円から百万円を超える報酬も約束される。
しかも(雇い主に当たる)被後見人等が亡くなるまで長期にわたって”解任なし“。
不正をしたって罰なし、左遷なし、安全なのだ。

そのくせ後見人たちは権威主義的で、上から目線の財産管理、「払ってやる」態(てい)の横柄さ。
財産管理の結果を年1回、家裁に報告するが、家族に知らせる義務はないとされている。
(いちいち家族に報告したらやっかい事に巻き込まれると、家裁もそれを黙認している)
しかし待ってほしい、今どき民間で、1000万円超ものおカネをポンと預けられ、「お礼」をいわない会社・団体はない。
ましてお客さま(本人や家族)に最低限の管理報告という”説明責任”さえ果たさないなんて、論外だ。
民間では相手にもされないずさんな仕事ぶり、と言うほかない。
不満がたまる一方だから、コストパフォーマンスは最悪、と言い募ることになる。
(お金を出してイライラ、不満しかわいて来ないサービスなんて、あってはならなだろう)

 

■施設に顔を出すのは年1回!?

公的後見人には財産管理と身上監護、ふたつの義務があるとされる。
その義務を果たすために後見人たちはどれくらいの時間を費やしているのだろうか。
(そうそう、ここからは少しタイムパフォーマンスについても考えることにする)

いろいろの調査や、私が施設等に実際に確認した結果によれば、1年に1回しか姿を見せない成年後見人が何人もいた。
しかも、せっかく施設に行っているのに本人を見舞わず、会話することもなく5分で帰る者がいる。
(こういう人は元々、人間が嫌いなのだろう)
月1回通ってくるような人は、施設では「よく来てくれる先生」という評価になっていた。
月1回姿を見せれば“熱心”と思われるサービスなぞ、民間にはない‼

 

■士業後見、コスパもタイパも最悪だ!

「財産管理」と「身上監護」がワンセットの仕事、顔見せの回数はともかく、この仕事さぞ手間がかかり大変なのだろう。。
財産管理の実態は・・・・・施設費用を自動振替することだけ・・・・・
身上監護は・・・・・、とにかく本人に会うことさえしないのだから・・・・・
(電話で施設に、本人の様子を問い合わせることもない後見人さえいる!)
これで月数万円の報酬はないだろう!

専門士業の後見人にとって、月1回の振込で事足りるならタイムパフォーマンスは最高だ。
逆に本人や家族は、数分で済まされ振り向かれることもないなら、タイパもコスパも最低・最悪ということになる。

こんな事実がわかってきたので、私は後半部分を大幅に書き換えた。
国が行う“天下の●■制度”に盾を突くようで申し訳ないとは思うが、怒りの方が強かった。
「●■制度」は、「●■」に「福祉」という言葉を充てるつもりだったのだが、やめた。
現行の成年後見制度の運用は、到底「福祉」の名に値しないからだ。
と言って、何の言葉に値するのかわからず、「●■」のままにした。

 

■福祉に関心ない後見人に身上監護を任せてはいけない

専門士業の後見人の大半は、福祉に関心がない。
先にも書いたが、人間が嫌い、病気や障がいをもつ人に気持ちが向かない人は、「後見」などという“人に寄りそう仕事をすべきではない。

なのに民法は、財産管理の職務だけ与えておけばいいのに、
あろうことか「身上監護」をも後見人の職務とした。
元々は、成年後見制度自体が、「家族後見人」をあてにした制度だったからだ。
今のように、最高裁事務総局の方針転換により専門職後見人ばかりとなっている「成年後見制度」では、財産管理と身上監護のワンセット化は、弊害以外を生まない。

▼▼▼▼▼成年後見ではなく家族信託に関心を示す人が増えている!

多くの人は、家族後見人が排除され、士業の後見人が幅を利かせている今の成年後見制度について、このような事実を知らない。
ネットで調べるなりして事実を知った人も、「家族が不正を繰り返したからこんなことになったんだ」と刷り込まされている。
最高裁が家族後見から専門士業の後見へと方針を切り替えた理由の第一は、確かにそのようなものだったかもしれない。
しかし、現在の実態、体たらくを直視すべきだ。
福祉に無関心な後見人に身上監護を任せてはいけない。

 

■大甘報酬をただす第三者機関を

それにしては、専門士業後見にシフトした効果や弊害の検証がお粗末すぎないか?
(そもそもアンケート1つしていないではないか)
後見人等の報酬は、家庭裁判所が決定する。
報酬の目安は、年間「24万円-72万円」とされる。
その報酬額が、被後見人等の流動資産の額に比例していることを専門家は知知っている。
しかし報酬が、後見人等の「仕事の量と質」に直結しているとは誰も思ってはいない

家庭裁判所の報酬審判が適正かどうかをチェックする第三者機関は存在しない。
家族後見人は、成年後見支援信託の利用を促され、あるいはまた(望みもしないのに)後見監督人を付けられ、しっかりお金の監視をされるのに、こと専門士業の後見人の仕事ぶりについては大甘の査定で、被後見人等の“財布”から直接「報酬」を抜き取れるようにしている。
これは正義か、不正義か。
公平か、不公平か。

第三者機関くらい、早急に設置しようではないか。
それが一向に進まない。進む気配すらない。
このていたらくではまた国連から「成年後見は差別的」とのそしりを受けるのではないか。

ヒント30px国連から改革勧告を受けている日本の「成年後見制度」
 日本の成年後見制度は、昨年(2022年)9月に国際連合から懸念や勧告が公表された。
意思決定能力の評価に基づき障害者の法的能力の制限を許容する、現在の法規定の見直しが勧告されたのだ。
もっとくだけて解説すると、成年後見人等の権限が強すぎることが後見類型の問題点としてやり玉にあがり、成年後見制度そのものの見直しが強く求められたわけだ。
「改革」は模索されているようだが、私にはよりよい方向にこの制度が改革されていくとは到底思えない。

(初出:2018/4/14 最終更新2023/9/20)

静岡県家族信託協会
行政書士 石川秀樹(ジャーナリスト)

 

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この記事を書いた人

石川秀樹 行政書士

石川秀樹(ジャーナリスト/行政書士) ◆静岡県家族信託協会を主宰
◆61歳で行政書士試験に合格。新聞記者、編集者として多くの人たちと接してきた40年を活かし、高齢期の人や家族の声をくみ取っている。
◆家族信託は二刀流が信念。遺言や成年後見も問題解決のツールと考え、認知症➤凍結問題、相続・争族対策、事業の救済、親なき後問題などについて全国からの相談に答えている。
◆著書に『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』。
◆近著『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』。
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