★数百万円超の後見人報酬は、仕事の量と質に見合っているか?
以前、以下のようなブログを書いた。
★成年後見費用、1000万円超の衝撃! 生涯コストは家族信託の10―30倍‼
今回、この記事を新サイトに移転させるに伴い、大幅に内容を書き換えた。
新しい視点、注目すべき論点に気づいたからだ。
内容が少しかぶるけれども、書き換えた理由を解説したい。
■1000万円だから衝撃、なのではない‼
当初、このブログを書いたとき私は、職業的後見人に支払う報酬のランニングコストに着目しただけだった。
「ランニングコスト」というのは、成年後見は被後見人が亡くなるまで続く制度なので、報酬を払う期間は数年とか、十数年に及ぶ。だから生涯のランニングコストを計算すべきで、それが時には「1000万円」を越えることを明らかにした。
そして「1000万円」という数字に我ながら驚愕し「衝撃!」という見出しをつけたのだった。
ところが今回、記事を新サイトに移そうとしてあらためてこの記事を読んだとき、<テーマが違っていたな>と感じた。
何が違うのかと言えば、金額の1000万円を「衝撃‼」としたことだ。
(生涯の療養介護費用が1000万円超となることはザラにある。だから「1000万円」そのものには意味がない)
問題にすべきは、「1000万円に値するサービスや付加価値が今の成年後見制度にあるのか」ということなのだ。
後見人等たちは、1000万円に対する仕事をしているのか。
財産管理において・・・・・
身上監護において・・・・・
■施設に顔を出すのは年1回⁉
いろいろの調査や、私が施設等に実際に確認した結果によれば、1年に1回しか姿を見せない成年後見人が何人もいた。
しかも本人を見、会話することなく、5分で帰る者がいる。
(こういう人は元々、人間が嫌いなのだろう)
月1通うような人は、施設では「よく来てくれる先生」という評価になっていた。
(月1回姿を見せれば“熱心”と思われるサービスなぞ、民間にはない‼)
後見人等は、「財産管理」と「身上監護」がワンセットで義務とされる。
財産管理は施設費を自動振替することだけ・・・・・
身上監護は、とにかく本人に会いさえしないのだから・・・・・
(電話で施設に、本人の様子を問い合わせることもない後見人さえいる!)
これで月数万円の報酬はないだろう!
こんな事実がわかってきたので、私は後半部分を大幅に書き換えた。
国が行う“天下の〇〇制度”に盾を突くようで申し訳ないとは思うが、怒りの方が強かった。
「〇〇制度」は、「〇〇」に「福祉」という言葉を充てるつもりだったのだが、やめた。
現行の成年後見制度の運用は、到底「福祉」の名に値しないからだ。
と言って、何の言葉に値するのかわからず、「〇〇」のままにした。
■福祉に関心ない専門職後見人
専門職後見人の大半は、福祉に関心がない。
先にも書いたが、人間が嫌い、病気や障がいをもつ人に気持ちが向かない人は、「後見」などという“人に寄りそう制度”にはおよそ向かないというべきだ。
なのに民法は、財産管理の職務だけ与えておけばいいのに、
あろうことか「身上監護」をも後見人の職務とした。
元々は、成年後見制度自体が、「家族後見人」をあてにした制度だったからだ。
今みたいに、最高裁事務当局の方針転換により専門職後見人ばかりとなっている「成年後見制度」では、財産管理と身上監護のワンセット化は、弊害以外を生まない。
多くの人は、家族後見人が排除され、専門職後見人が幅を利かせている今の成年後見制度について、その事実を知らないし、ネットで調べるなりして事実を知った人は、「家族が不正を繰り返したからこんなことになったんだ」と刷り込まされている。
最高裁が方針を切り替えた理由の第一歩は、確かにそのようなものだったかもしれない。
■大甘報酬をただす第三者機関を
それにしては、後の結果検証はお粗末に尽きる。
(そもそもアンケートすらしていないのだろう)
後見人等の報酬は、家庭裁判所が決定する。
その報酬の目安が、年間「36万円-72万円」とされる。
その報酬額が、被後見人等の流動資産の額に比例していることは知られているが、
その報酬額が、後見人等の仕事の量と質に連動しているとは到底思えない。
家庭裁判所の報酬審判が適正かどうかをチェックする第三者機関は存在しない。
家族後見人は、成年後見支援信託利用を促され、あるいはまた(望みもしないのに)後見監督人を付けられ、しっかりお金の監視をされるのに、こと専門職後見人の仕事については大甘の査定で、被後見人等の“財布”から「報酬」をとれるようにしている。
これは正義か、不正義か。
公平化か、不公平か。
第三者機関は、早急に設置しなければならない。
(ジャーナリスト 石川秀樹)
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私がそう信じるわけを書きました。
やさしく解説、深い内容‼