★「老後のお金の管理、家族の私に任せて!」家族信託とは何かを超簡単に解説

家族信託

こんにちは、『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』の著者の石川秀樹です。
きょうは「家族信託とは何か」を超簡単に解説します。

この本▲▲▲をリリースしたのは2019年4月のこと(平成時代の最後の月です)。
あれから4年近く、コロナウィルスがまん延、国内感染者は3280万人(1月末現在)3人に1人以上が感染しているんですねぇ。
「なれましたか?」「いや、なかなか」。高齢の身には怖いままですよ。私もそんなように感じています。
さて本題。今さらですが、「成年後見より家族信託」のプロローグを全文掲載します。
本書のテーマは、高齢になり認知症不安がある親の生活を家族の力で守に抜く、です。
80歳以降の人の認知症発症率はおおよそ30%、90歳を越えれば半数を超します。コロナにかかる確率よりずっと高い! しかも治す方法がないとは。こういう病気なのに、政府がワクチンを用意してくれたり補助金を支給してくれることもなく、逆に銀行は認知症と分かればお客さまの口座を凍結しにかかる始末。
「どうする!? 家康」どころではありません。私たちは自分の努力でこの難局を乗り切らないと!
このプロローグ、お役に立てる情報だと確信しています。本のさわりをお読みください。
※実は先日(2021年3月12日)、幻冬舎GoldOnlineから「『成年後見より家族信託』のコンテンツを抜粋して7回掲載したい」との申し出があり、1回目の記事として提供し大きな反響を得ました。

 

銀行預金が凍結される…恐ろしい認知症に「家族信託」の有効度

超高齢化社会の日本では、認知症になる人が増えています。不正防止の観点から、認知症とわかると預金者の口座を凍結して「成年後見制度」をすすめてくる銀行もありますが、他に選択肢はないのでしょうか? 今、「家族信託」を使った認知症対策が注目されています。「家族信託」とは何なのか? その仕組みとメリットについて解説します。※本連載は、石川秀樹氏の著書『認知症の家族を守れるのはどっちだ!?成年後見より家族信託』(ミーツ出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「家族信託は自分の“分身”をつくる仕組み」の意味

「家族信託とは何か」について昨年パンフレットを作ったとき、載せたイラストが以下のものです。

家族信託の説明

「あなたの“分身”をつくる仕組みです。」がキャッチコピー。左側が父で「委託者」そして当初の受益者でもあります。真ん中は母、「2番目の受益者」になる人。そして右は娘、家族信託の主役となる「受託者」です。

筆者の頭の中にあったのは、実は合鍵(スペアキー)のイメージでした。鍵を持たずに出かけたある日、帰宅するとあいにく家人が留守。締め出された筆者は、『車には1本スペアキーを置いていた』と思い出しました。ところがこの日は徒歩で駅に向かったため万事休す。目の前に家があるのに長時間の待ちぼうけとなりました。

家族信託とはスペアキーを持つイメージ

この状況、高齢になって判断力が落ちたり、認知症になってお金の管理ができなくなる場合と似ているなあ、と思ったのです。

〈しまっておいたお金はどこ!? 絶対にあるはずなのに。私は今、何をしようとしてここにいるの!? 自分のことなのに、何もわからない…〉

日常のごく当たり前のことができない、思い出せない。何をするにも自信がない。こういう不安な状態はつらいですよね。でも、しっかりした自分の“分身”がいればどうでしょう、安心できるのではありませんか?

その分身をつくろうよ、というのが「家族信託」の発想です。自分に欠けた部分を助けてくれる合鍵を作っておこうよ。イラストに鍵は出てきませんが、会話で表現しているのはそういうことです。

家族信託なら「自分に関わるお金」を子が引き出せる

ここからちょっと難しいお話をします。

たまに必要になる“合鍵”なら、今でもあります。「委任――代理」という方式です。ある人(Aさん)が別の人(Bさん)に事務を委任することによって、BさんはAさんの代理人として事務をする。父が娘に「私の代わりに○○万円をおろしてきて」と委任状を書いて、通帳と印鑑を持たせて銀行に行ってもらう、というのが典型的な例です。

こういう代役は、Aさんが元気なうちなら何の問題もなく立てることができます。

ところが今は超高齢社会で認知症多発時代です。そもそも「委任――代理」の前提は「委任する人に意思能力があること」ですから、認知症などでそこが怪しくなってくると合鍵は成立しなくなってしまいます。

しかも父がほしいのは「臨時の代理人」ではなく、恒久的な自分の“分身”です。意思能力も判断能力もある今のうちに、将来衰えるかもしれない自分のために自分の意思に沿って事務をしてくれる人を見つけたいのです。これは、“ないものねだり”に近い、とても難しい要望です。

ところがそれに近いことが、昔はできたんですよ。「家督相続」という旧民法(明治31 年~昭和22 年)が認めていた相続制度です。この制度では、戸主(その家の家長)が亡くなると長男ひとりが全部の遺産を継承・相続します。現在の感覚からすればとても不公平。

ただ、ユニークな点がひとつありました。“隠居”という制度です。

自分は“隠居”し子に家計を任せるイメージ

家督相続の時代、家長はすべての財産を相続する代わりに、一族の面倒をみるという暗黙の了解がありました。責任重大。神経を使う。だから高齢になると『そろそろ私の役目は終わりにしたい、若い者に家督を譲ろう』ということが許されていたのです。自発的な代替わりですね。この代替わり、ほとんど税金がかからず行うことができました。

戦後は民法が一変して、相続でも平等主義を貫くようになりましたから、家族の誰かに家督を譲って隠居するなどという制度は消えてしまいました。今それを実現しようとすると、高い贈与税がかけられて損をします。だから誰もそんなことはしない…。ということなんですが、「家族信託」を使うとこの“隠居制度”を、よい意味で復活させることができます。

イラストで父は「財産管理を全部(娘に)任せたい」と言っています。これに対し娘は「信託すると財産は私の名義に換わるの」と説明しました。しかもこの財産移転について贈与税は一切かかりません。これってまさに隠居の実現です!

ただ、少し違うところがあります。隠居は全財産を次世代に譲ります。だからご隠居さんは、気楽にはなるけれど、金銭的にはキュークツ。家族信託はそこが全然違います。

財産の管理権は「名義」が移ったことで、受託者である娘が完全に握ります。ところが受託者はその財産を自由に使えるわけではなく、財産がもたらす利益のほぼ全部を受益者のために使います。耳慣れない「受益者」という言葉を、ここでしっかり覚えておいてください。

水道のようにお金の流れを管理する

隠居の場合は後を継いだ新しい戸主が家族や一族のために家の財産を裁量的に使いますが、家族信託では、託された財産を受託者は、受益者のためだけに使うことになります。

どのような場面でどれだけ使うかということは契約書に「信託目的」として書かれています。受託者はそれを忠実に守る義務があります。結果、父から託された財産を娘は、父に毎月定額給付したり、父が必要な時にはそれに見合うお金を支給するような形で管理していきます。

お金の流れを水道に例えれば、水源は父で娘は水道の蛇口の管理者、水道管の先には父がいて、水量調整された水を受け取る、ということになります。元々自分が貯めていた水を自分のために使うだけですから(受託者は蛇口の調節役に過ぎないんですから)、贈与税なんか、かかるわけがありません。

お金の流れを管理する家族信託

“現代の隠居”は届け出制ではありません。家族間で契約書を作って申し合わせるのです。面倒だしお金もかかる。何のためにそんなことをしなければならないのでしょう。

ひとことで言えば認知症対策です。

家族の1人の認知症を放置していれば、いずれ金融資産は銀行に凍結されます。通帳のキャッシュカードを娘が預かって管理をする、などという対策を取る人は多いでしょう。しかし通常、この管理はとても長く続かざるを得ません。

カードを紛失したり通帳の磁気が消えて機械に反応しなくなることもしばしばありそうです。その度に「本人の意思確認」を求められるというやっかいな問題もあります。また子が複数いる場合には、親のお金を管理する人とノータッチの人との間で、あつれきを生じることもよくあります。

親の資産を子が管理することは違法でも何でもありません。ただ、(何と言ってもお金のことですから)厳正に行った方が家族の誰にとっても幸せになる確率が高いことは確か。家族で決めたルールの中で皆が一体感をもって“楽隠居”をしてもらう方が、安心です。

家族信託はほかにもまだまだ多くの有益な機能を持っています。人生第4コーナーから第5コーナーを家族の力で回りきるために、この活用をぜひ考えてみてください。

幻冬舎GoldOnlineへの掲載記事▼▼▼はこちらから読めます。

忘れないで、全員ハッピーは「家族信託」だけ!!

では補足の解説をします。
「家族信託とは何か」を原理や理屈で解説すると、どんなにやさしく分かりやすく書いたつもりでも、やっぱり難しくてなかなかイメージを掴んでもらえません。ですから今度の本では、家族の笑顔とスペアキーと、水道の蛇口で解説を試みました。結論はようするに、「お金のことは全部私に任せてくれれば安心よ。奪うのでなく、もらうのでもなく、全部私が預かって、必要なときにはお父さんにお金を渡すし、お父さんのためにお金を払うからね」ということなのです。
なぜそういうことができるのか、という話はコチラの記事▼▼▼を読んでください。

《よくわかる家族信託》★家族信託とは何か――成年後見では本人も家族も苦い顔、家族信託なら全員ハッピー。なぜそうなるのか、財産を誰が管理するかで違いが出てくるのです!

原理・原則のことを書いているので、所々、むずかしい個所はあります。
そこでイメージ作戦として、上の記事では冒頭に4つのイラストを用意しました。
こちらでもお見せしましょう。

家族信託a現在の状態

家族信託c

家族信託なら、本人にストレスがかからない

4つのイラストは、上から順番に、[現在の様子➤成年後見➤任意後見➤家族信託]のイメージです。
現在と同様に本人が笑っているのは家族信託だけ。成年後見も任意後見(娘が任意後見人なのに)も、本人は苦虫を過去つぶしたような顔をしています。面白くないんですよ。
イラストに出ているのは、本人と家族と、法律の専門家(成年後見人と任意後見監督人)、それと本人の財産です。
違っているのは、財産を誰がもっているかだけ。現在は、本人が所有者としてすべての財産を自分で管理・処分しています。
成年後見人が付くと、成年後見人が全財産を管理(家庭裁判所も存在感)。任意後見では、全財産ではなく特定の財産を家族の1人が管理(しかし任意後見監督人と家庭裁判所がにらみを効かす)。成年後見も、任意後見も家族はかすんでいます。全員ハッピーなのは家族信託だけ。

なぜこうなるのか、簡単に言えば、成年後見人が付いている場合も任意後見も<家庭裁判所の管理下>にあるので「本人の財産」をとても厳密に考えるからです。一方、家族が管理する場合は(父がしていたことはよく分かるので)その仕方にならえるからだろうと思います。
本人にとって、自分がしてきたことを人が行なうことは(たとえ家族であっても)ストレスがかかること。しかも高齢で、自分の認知能力が落ちてきていることは自分でもわかっている最中ことですから、できる限り“軟着陸”するのが良い選択になるわけです。
いきなり職業成年後見人が代わりを務めるというのはハードランディングもいいところ。絶対に避けてあげたい、と思いませんか?
だから私は、成年後見ではなく家族信託をおすすめしたくなるんです。

<初出:2023/2/10>

静岡県家族信託協会
行政書士 石川秀樹(ジャーナリスト)

 

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この記事を書いた人

石川秀樹 行政書士

石川秀樹(ジャーナリスト/行政書士) ◆静岡県家族信託協会を主宰
◆61歳で行政書士試験に合格。新聞記者、編集者として多くの人たちと接してきた40年を活かし、高齢期の人や家族の声をくみ取っている。
◆家族信託は二刀流が信念。遺言や成年後見も問題解決のツールと考え、認知症➤凍結問題、相続・争族対策、事業の救済、親なき後問題などについて全国からの相談に答えている。
◆著書に『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』。
◆近著『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』。
《私の人となりについては「顔写真」をクリック》
《職務上のプロフィールについては、幻冬舎GoldOnlineの「著者紹介」をご覧ください》

 

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