★代理人カードを使え! 認知症による口座凍結を当面は回避できる。あくまで暫定ツール、限界が来る前に次のステップに進め!

家族信託

親の認知症により預金口座が凍結されないか心配なら、ぜひ「代理人カード」を作ってほしい。恒久的な解決策ではないけれど“時間稼ぎ”にはなる。
家族信託の本
認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』の<第3章「認知症」と「家族信託」>の最後に、私は以下のような「コラム」を追加した。代理人カードのおすすめである。代理人カードで「口座凍結」を防げ万事解決となるわけではない。しかし家族はこのカードがあれば、おろしに行くたびに感じるハラハラドキドキからは解放される。
この間に家族信託を親族間で共有して、相続対策をすると同時に恒久的な認知症対策を始めてほしい。
代理人カードは強くおすすめできるツールなので、コラムの全文を以下に引用する。

恒久的な認知症対策への“時間稼ぎ”にはなる

コラム信託前の財産管理、代理人カードがおすすめ

 老いてきた親のお金の管理が心配で、ある時期から娘さんが代わりに銀行に行ってお金の出し入れをする。それを誰にとがめられることもなく、正々堂々とやっていくために家族信託があるわけですが、「で契約しよう」とすぐに決心がつくものでもありません。すると、銀行に凍結される可能性は常に念頭に入れて行動しなければなりません。そのためのベストな選択とは―――

 最低限、親にキャッシュカードを作ってもらうことです。かたくなに作らない人もいます。私の母もそうでした。母の介護が始まったとき、父が説得して、1口座だけですがカードを作りました。これが後日、家族を助けてくれることになりました。

 本人のカードを作るなら、同時に代理人カード(家族カード)を作れれば理想的です。このカードは、本人が窓口で希望すれば、書類1枚ですぐに手続きは終わります。必要書類は▼届出印▼本人のキャッシュカード▼本人の身分証明書。1週間ほどで本人宛に簡易書留で送ってくれます。料金は1000円程度の銀行が多いようです。

代理人カード

カードを渡す相手は大半の銀行が「生計を共にしている家族(同居、仕送り)」としていますが、こういう時代ですから、実家の親の財産を管理するという理由は認められる可能性が高いと思います。申込みの時に生計を共にしていることを証明するための家族の資料等は求められません。

 写真は、私が家内に1枚持っていてもらうために地元信金で作った代理人カードです。口座番号も名義も本人であり、私の持つカードと違うのは口座番号末尾に「D」が入っていることだけ。

 代理人カードを紛失したり、カードの磁気がなくなった時、代理人の申し込みでも銀行は再発行してくれます。

 親の中には代理人カードを渋る人もいるでしょう。でも、スペアのカードを家族が共有することは、親子に信頼関係がある証です。結果的に銀行の信用が得られ、定期的なカード使用にチェックが入りにくくなる効果も期待できます。親には「凍結されないための対策」と説明して、カードについても「(私は勝手に使わないから)当面はお母さんが両方もっていて。おろしたいときだけ代理人カードを貸してくれればいいから」と、やさしく説明してください。

 

 定期預金の解約はできません

 代理人カードがあれば家族信託は必要ない、と考える人がいますが、カードを2枚持つのはあくまで予備的な措置です。代理人カードがあっても、定期預金の解約ができないことは変わりません。

 ですから将来の凍結に備えて、後見人を自分で選ぶ任意後見契約を使おう、という人もいます。しかし最近は、契約内容に「預貯金口座の解約」が入っている場合でも、定期預金の解約については、本人または成年後見人だけとする銀行が多く、いざ任意後見が始まっても、目的が達せられない可能性があります。

 財産管理委任契約や、銀行とお客さまとの「任意代理」という制度もありますが、こと定期預金については同様です。

 結局私の結論は、①本格的な財産管理までの“つなぎ”として使うなら代理人カードで十分、そして②老親に本格的な財産管理が必要だと見切ったときには家族信託に移行していく――です。

銀行の都合に振り回される「家族」

誤解のないようにひとこと言っておきたい。 銀行は、口座名義人が認知症であることを知ると、多くの場合、その口座を凍結する。 家族等に勝手にお金を引き出されたりするのを防ぐ、という意味もあるし、 家族の相続紛争に巻き込まれたくない、という防衛意識も働いているのだろう。

金融庁は「認知症=口座凍結」を指示してはいない

認知症による口座凍結は、金融庁がそのように銀行に指導しているわけではない。
法律に「銀行のコンプライアンス(法令順守)」が定められているからやっているわけでもない。
銀行が根拠のように言う「本人の安全」云々は、ほぼほぼ銀行の勝手な都合を述べているだけである。

一方、家族が親のキャッシュカードを使って親の口座からお金を下ろすのは、多くの場合は「財産管理」のためであるし、自分がしなければ親が困ってしまうことが目に見えるからであろう。 一部に、不正を働く家族はいるかもしれない。 (士業だって、成年後見人に選任される人ですら、不正をする者はいるのだから) 確率の問題で、人間がすることゆえ、不正ゼロはあり得ない。

不正はあり得るのだから「本人が意思能力を喪失しているなら、(家族にによる)不正に遭わないよう一律に凍結」というのはどうであろう。
第一、凍結した口座の名義人の全部が全部「一片の意思も確認できないほど重篤な認知症患者である」ことはないだろう。
それでも金融機関が凍結を断行するのは、銀行側の都合である。

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銀行は「成年後見」活用に傾きがち

家族がカード使用を後ろめたく思う必要はない

同様に、家族も、親本人と(一部は)家族の都合で親のお金をキャッシュカードでおろす。
この行為、親のためにやっているなら後ろめたく思う必要はまったくない。
「認知症ですか?それでは成年後見制度を使って――」と、銀行が(自分にとって)都合のいい制度に丸投げしている。
この制度を使えば、本人も家族もキュークツな思いをし、かつ継続的にお金もかかる。負担は親本人である。

では金融機関は、口座を継続して本人のニーズにこたえ続けることが本当にできないのか。
手間暇はかかるが、本人と家族の(あるいは推定相続人全員の捺印を求め)“自己責任”において当面の間、口座を凍結しないでおくということがまったく不可能とは思えない。
銀行は、自らの裁量で判断すべきことをしないで、お客さまに負担を押し付けているとしか思えない。

成年後見は、銀行にとっては煩わしさからの解放ツールだ!

成年後見制度がかなり“問題あり”の制度になっていることを、銀行はを本当に知らないのだろうか。
知らないとしたら不勉強である。
しかし実際は、優秀な幹部行員までが何も勉強しないでこの制度に無知であり続けているわけがない。
本人・家族には負担をかけるが、銀行にとっての煩わしさを一気に解消してくれるツールであると気づいているはずだ。
それでも「自主判断」せず「負担は本人・家族に丸投げ」が好都合としているなら、銀行は終わっている

「お客さまのために凍結」というのはサービスにはならず、銀行の詭弁である。
銀行は多くのお客さまの現金を預かっている「公器」である。
昨今の銀行の“混乱”ぶりは、「金融機関」という《目的をもった組織》の名に値しない。

“異常引出し”があると銀行は本人に電話する

ATMのお金の動き、銀行は見ている

だから家族は、代理人カードというツールを大いに活用してほしい。
ただし銀行は、代理人カードによるお金の流れも掌握している。
大金を連日のように引き出せば、銀行は必ずその使途を聞くだろう。
やっかいなのは、銀行は親本人に電話を掛けて来ること。
(なぜなら銀行は、口座開設時に届けた電話に掛けて来るから)

突然、銀行からの電話を受けたら本人は動転するに違いない。
ただでさえ判断力が落ち、見ず知らずの人との会話は苦手になっている。
しどろもどろになり(たぶん、行員が何を聴こうとしているのかも分からない状態に陥る)見当はずれの回答をするかもしれない。
銀行が『やはり認知症……』との認識を持てば、口座名義人の認知症を理由に、その口座を凍結するだろう。

代理人カード=認知症救済ツール、ではない

代理人カードがあれば、何でもできると錯覚しないでほしい。
代理人カードは、何らかの理由で本人が動けない場合(多忙や病気・入院など)に、本人の便宜のために家族に持たせるカード。
決して「本人が認知症の場合も使っていいですよ」というやさしいカードではない。

施設入居のための一時金にするために限度額いっぱいを連日引出すなどの行為は、すぐ銀行の目に止まる。
コンビニATMでも見逃さない(限度額が低いために何日もかけがちだが、危険だ)。
多くの銀行では、ATMの不正取引検知システムを導入している。
その銀行の基準に照らして通常の引出パターンと違う取引については“警報”が出る。
その場合は、先に書いた通り、本人に連絡して事情を聞くことになる。

本人の常況が限界になる前に、次のステップを!

だから「代理人カード」があっても万全とはいえない。
基本、銀行は「認知症と分かれば止める」と決めている
そういう時代には注意深く上手にこの代理人カードを使わなければならない。
用心深く、いつものパターンを崩さず、賢く使ってほしい。
そして本人の常況をよく観察し《これ以上は難しい》とピンときたら、次のステップに進むべきだ。

<初出:2019年5月31日 最終更新:2021/10/27>

 

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この記事を書いた人
石川秀樹 行政書士

石川秀樹(ジャーナリスト/行政書士) ◆静岡県家族信託協会を主宰
◆61歳で行政書士試験に合格。新聞記者、編集者として多くの人たちと接してきた40年を活かし、高齢期の人や家族の声をくみ取っている。
◆家族信託は二刀流が信念。遺言や成年後見も問題解決のツールと考え、認知症➤凍結問題、相続・争族対策、事業の救済、親なき後問題などについて全国からの相談に答えている。
◆著書に『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』。
◆近著『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』。
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