2022.01.07
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実家の父が認知症!? 心配だから家族信託をしたいけれど、近くに専門家が見つからない。どうしよう……。 こんな方、少なくないのでは? 誰に相...
2022.01.07
実家の父が認知症!? 心配だから家族信託をしたいけれど、近くに専門家が見つからない。どうしよう……。 こんな方、少なくないのでは? 誰に相...
もっと家族信託! 石川秀樹のブログです
『監察医 朝顔』(フジ系、月曜夜9時)を毎週みている。朝顔役の上野樹里さんの顔立ちが好きで、もちろんストーリーもよいのでみていたのだが、最近、注目シーンが加わった。朝顔の父・万木平(まき・たいら、時任三郎さん)の挙動に目が離せない。どうやらアルツハイマー型の認知症らしい!? お手本みたいな初期症状が顔を出すと、ハラハラし、胸ふさがれる思いがする。
目次
2月22日放送された15話に、象徴的なエピソードが登場した。
平(たいら)が仙ノ浦から戻り、親子孫三世代同居がまた始まった正月すぎ、物忘れが話題になる。
朝顔の子「つぐみ」が、「じいじが一番ダメだね」という。
「だって、お年玉3回ももらったもん」とポチ袋をテーブルに並べる。
したことを忘れてしまう。
アルツハイマー型認知症の典型的な症状だ。
平(たいら)自身、自覚していて、仙ノ浦の家で一人暮らしをしていた時は、壁やふすま、仏壇の前などいたる所にメモを貼って、「記憶」の代わりをさせていた。
それでも忘れる。いや、最近のことは覚えられないのだ。
東北の震災津波で行方不明になった妻、里子の父(柄本明さん)を見舞う日もそうだった。
きっかけがあって思い出したとき、平はハッとし、やがて情けなそうな顔に変わっていく。
面会時間はとうに過ぎていた。
平は、忘れないようにと努力をしている。
しかし「すぐ前のことさえ忘れる(覚えられない)」というこの脳の機能は、「努力」をも無にしてしまう。
忘れっぱなしなら、情けなさも、怒りも、焦りも感じないで済むのに、時折残酷な形で
「あっ、俺、忘れちゃったんだ」と思い出させる。つぐみのお年玉のように。
アルツハイマー型認知症は、本人に自覚がある。
自覚はあっても、当初は認めない。
『この俺が!? まさか、ね』
平は刑事だった。勘と経験知と観察力、そしてそれらを統合的にまとめる力にすぐれ、頼られていた。
そんな人が、忘れてしまう。「絶対忘れないように」と、対処法まで編み出し注意しているのに……。
認知症は当初、病気の顔をしていない。
熱も出ないし、寝込むこともない。体は元気で“世界”は何も変わっていない。
変わりつつあるのは、自分の中の、脳の機能のほんの一部だ。
小さな変化が、静かに、時間をかけて進行していく。
この病気に悲劇性があるようには見えないのに、月日が経つと、悲喜劇であり残酷でもある様相が、周りにも感じられるようになってくる。
しかも認知症に効く薬はない。
製薬各社が“次代の宝の山”を掘り当てようと、懸命に研究を続けているのに、特効薬は見つからない。
進行を抑える薬さえ、いまだ存在しない([アリセプト]が処方されるが、効果は短期的だといわれる)。
アルツハイマー型認知症は進行し、最後は命を奪う。
その過程で、その人らしさを少しずつ奪っていく。
進行の過程そのものが、悲劇的なのだ。
平はそういうことを知っているから、苦しんでいる。
救いはあるのだろうか。
朝顔は、つぐみが平の忘れっぽさをいぶかっていると、
「じいじは覚えていられない病気になってしまったの。でも、じいじはじいじで少しも変わらないよ。つぐみのことを大好きだし、つぐみもじいじが大好きでしょ?」
と話す。
同居している朝顔の夫、桑原君(風間俊介さん)も別の機会に、平にこんな言葉をかけている。
「お父さんが僕のことを忘れてしまっても、僕はお父さんのことを覚えています。ぜんぜん問題ないですよ」
家族や身近な人に愛され見守られていることで、平は、元の自分と同じではない自分を認めようとし始めている。
しかし昔の警察仲間と話しながら、こんなこともいうのだ。
「死んじゃった方がいいのかな。迷惑をかけないうちに、死にたいとも思うよ」
周りにいってもせんないことを平は知っているが、(認知症のことを)ほのめかしたい気持ちもあるのだろう。
認知症になった本人は、「認知症の自分」を知っている。
だから最初は隠そうとする。病気自体を否定する。「まだ大丈夫だ」と思う。
思う気持ちが「うそだ」とも思っている。理知が自分を苦しめる。
朝顔たちは、家族の間、信頼できる人々の間で、平の病気のことを共有し始めた。
結果的にはそれが、平の気持ちを少し楽にしてくれるかもしれない。
むずかしいことではあるけれど、希望はある。
朝顔は平に向かって「お母さんの話をしてよ」と、ねだった。
そして、レコーダーを取り出した。
平は嫌な顔をせず、「僕も聴きたくなるかもしれないから」と微笑を見せる。
(コンヤ話シタコトヲ、僕ハ忘レテシマウカモシレナイカラ……)
平の話はその夜、長く続いたようだった。
『朝顔』のストーリーで、平の認知症のテーマが出てきたのは、私にとって画期的だった。
下世話な実務家の私は、ドラマをみながら、つい現実的なことを考えてしまう。
『平のお金は大丈夫なのか』とか、『平のような人は家族信託を認めるだろうか』とか……。
実は、家族信託の相談を受けた場合、10件中2、3件は、委託者となる親御さんの賛同を得られずに中途で消えていく。
契約書の調印の日になって、委託者のお母さんが泣き出すのを静かに見守ったこともある。
家族信託のことを十分に説明し、契約書も何度か読んでもらっているのに、自分の財産を人(娘さん)に託すという土壇場で、自分の人生を否定されたようで寂しく、悔しく、悲しくなる。
理解できるけれど、「わかります」とは、私は言えない。
家族信託さえ否定したら、この人はどうやって生きていくのか、と思うから。
娘より、他人の後見人の方がいいとは思えない。
《でも、お母さんの涙はそんな理由じゃないんだな》と僕は思う。
生きてきた誇りが奪われるような気がする、というのがお母さんの中の真実なのだろう。
私も、ひとごとではない歳になってきたので、信託すべきという理性と、無理強いは彼女を傷つけるという思いが交錯して混乱する。
《運命に任せるしかないかも……》
もっと時間があれば、朝顔や平さんや桑原君の話をしてあげたい。
家族が苦しみを共有することで認知症になったとしても、新しい一歩が踏み出せる――と。
結果的にその人は、自分で調印することを決断した。
私たちは、自分が正しいと思っていることを押し付けがちだ。
合理的だし、それで親の問題が解決すると思っているから。
私たちは、親の先の先を見て(見た気になって)「対策」を講じようとする。
先回りだ。それを「転ばぬ先の杖」と思っている。
親はそんなことを見ていない。
騒ぎ立てずに、自分の変化に向き合っている最中だ。
混乱もする。慌て、絶望しているかもしれない。
はたからは分からない。奇妙な言動ばかりに見えてしまう。
私も自分の両親に対して、そういう失敗をしてきた。
認知症は人生後期に現れる。不意打ちだ。予想もしない。
朝顔たちは、時間をかけて混乱を受け止め、事実を受け入れた。
お金の問題や家族信託は筋書きにはないので、「平さんのお金の管理」についてはドラマになることはないだろう。
それは私たちひとり一人のストーリーだ。
混乱しながら工夫していくしかない。
理屈や(親の将来への)見通しで、親を攻め立て、対策を迫るより、私たちは一緒に悩む時間をもっと共有したい。
子も親も前を向ければ、どんな事態になっても何とか切り抜けられる。
ひまわりだけではない、朝顔もお日様に向けて育っていく。
<最終更新:2023/6/24>
あなたの家でお悩みの問題をお聴かせください。
成年後見制度に委ねるより、家族信託という手法を使う方が悩み解消につながるかもしれません。
家族信託は委託者と受託者の契約ですから、すべての事案でオーダーメイドの対策を講じることができます。
成年後見人は意思能力を失った本人の代理なので、将来へ向けての「対策」は一切できないのです。
家族信託なら財産管理から相続対策のことまで、契約の中に盛り込むことができます。
《このようにしたい》という想いがあれば、受託者に動いてもらえます。
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