2022.01.07
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実家の父が認知症!? 心配だから家族信託をしたいけれど、近くに専門家が見つからない。どうしよう……。 こんな方、少なくないのでは? 誰に相...
2022.01.07
実家の父が認知症!? 心配だから家族信託をしたいけれど、近くに専門家が見つからない。どうしよう……。 こんな方、少なくないのでは? 誰に相...
もっと家族信託! 石川秀樹のブログです
家族が成年後見人になれない本当の理由を書きたい。そのわけとは、家庭裁判所が基準としている「15の理由」が家族にとっては“高すぎるカベ”であることと、家族から後見相談を受ける専門家が、ヒヤリングするうちに『親族後見がむずかしそう』と判断すると、「あなたが後見人になれないなら、見ず知らずの人が選任されるより、私の名を申立書の候補者欄にかいておきませんか?」と提案するからだ。
目次
前に私こんなブログを書いた。「★家族が成年後見人になれない15の理由」=下段▼▼▼
しかし最近、成年後見人を務めている友人たちと話をしているうちに「15の理由だけではなかったんだ」と思った。「これは構造的な問題だ」と気がついたのだ。経験豊富な士業の後見人は「家族が後見人に選任されにくい理由」を熟知している。だから相談に来た家族とのヒヤリングで《親族後見はむずかしそうだ》と判断したときには理由を示し、「見ず知らずの人が成年後見人になるより、私を(後見人)候補者にしておいた方がよろしいのでは?」と声を掛けることになる。士業のこの対応は間違っていない。しかしそれは、家裁が選任規準としている15項目が、家族にとってはあまりに“高いカベ”になっているということである。このカベがあるがゆえに、専門家への相談が事実上の<事前査定>のようになってしまい、今や後見開始の審判申立書に「家族」を候補者とする人がたった23.9%になってしまった(最高裁判所の令和3年版「成年後見事件の概況」)。家族は最初から委縮させられている! これが現在の成年後見制度の実態である。
2019.06.29
■後見人は家族がなる、との誤解がなぜ生まれるの? Q 私は貴ブログに出合うまで、成年後見人には「家族の1人」がなるものだと思っていました...
よくある話。この業界の周辺でささやかれているのはこんなこと。
「△△△△の●●●さんは、40人も後見している」
「家庭裁判所に日参すると仕事が回って来るんだよ」
一方、「後見候補名簿に何年も前から載っているのに、鼻もひっかけてもくれない」という声も。
家裁にも人への好みがあるらしい。後見周辺は、分からないことだらけだ。
行政書士の私の感覚では、後見職を真剣に引き受ければ、1人、2人でも大変だと思う。
私の家では、80歳を過ぎてから父も母も人生が一変した。病いの発症によりまずは救急病院、その後はデーサービス、リハビリや介護施設、老人病院のお世話になった。デーサービスはほぼ毎日、施設に入っても週1、2回は会いに行く。(といっても私がしたのはわずかな会話と洗濯物を持ち帰るくらいのものだったが。)
それでも仕事をしている身としては、車で施設や病院に向かうだけで、“負担感”はあった。
成年後見人等の仕事は、家族のそれとはまったく違う。
事実行為(着替えや姿勢交換、おむつの始末など)をするわけではない。お金の管理だけ。それも施設に後見人等が入所していればその支払いのみだ。
という人もいる一方、熱心にカンファレンスに出席して本人の様子把握に努める人もいる。
自宅でひとり暮らしの被後見人だって少なくない。中には徘徊する人もいる。近所とトラブルを起こす人も。
つまり、楽ばかりではないし、大変ばかりでもないのが「後見」という仕事である。
が、それにしても、40人もの人の面倒をみられる“先生”がいるとは驚きだ。1人でできるはずがないから、他の人が手伝っているのだろう。
言うまでもなく<後見人>という仕事は責任が重い。
担当する相手が1人でも2人でも、神経をすりつぶすことがある。物理的に手がかかる被後見人も少なくない。そういう人の後見だって、誰かが引き受けなければならない。“困難案件”という! 一方で、らくちんで“おいしい仕事”もなくはない(まことに失礼千万ないい方ではあるが)。それもこれも、「1件」だ。
士業の立場から言うと、1件、2件の後見事務だとまことに「効率」が悪い。職業として後見人を務めるなら、7人や8人は担当したい。これでも「後見」だけで事務所を回すのは難しいだろう。当然、他の仕事もやる。むしろ「ほかの仕事」の方がその士業にとっては<専門>かもしれない。掛け持ちはとても大変だ
私にはとてもできない。遺言・相続に家族信託の仕事をするだけで精いっぱい。仕事を得るためにせっせと執筆も続けなくてはならない。
士業はお客さまあっての仕事であるから、メールや電話、直接の面談。さまざまな形でお客さまのために時間を割く。このようなことを数時間も続けていると、いささか“心身の電池”が切れかけてぐったりしてしまう。お客さま対応には(慣れてはいるのに)ストレスがかかる。
それに上乗せする形で後見を引き受けたら、もはや身がもたない。
自分がそんな感じなので、真剣に後見人の任務を果たしている友らには頭が下がる。
だから、仕事を後見業務に絞る人がいても、少しも不思議ではない。
長い前置きになった。
ここから、本題である。
冒頭に“過激な見出し”を掲げた。
<家族が後見人になれない本当の理由>
前回書いた理由は、家庭裁判所側が説明する15の理由=下記=であった。
今回この記事を書くのは、「これが理由のすべてではなかった」と思うからだ。
<家庭裁判所が説明する「なぜ家族は後見人になれないのか」の15の理由>
◆次のいずれかに該当する場合は,後見人等候補者以外の者を選任したり,成年後見監督人等を選任する可能性があります。
(1) 親族間に意見の対立がある場合
(2) 流動資産の額や種類が多い場合
(3) 不動産の売買や生命保険金の受領など,申立ての動機となった課題が重大な法律行為である場合
(4) 遺産分割協議など後見人等候補者と本人との間で利益相反する行為について後見監督人等に本人の代理をしてもらう必要がある場合
(5) 後見人等候補者と本人との間に高額な貸借や立替金があり,その清算について本人の利益を特に保護する必要がある場合
(6) 従前,後見人等候補者と本人との関係が疎遠であった場合
(7) 賃料収入など,年によっては大きな変動が予想される財産を保有するため,定期的な収入状況を確認する必要がある場合
(8) 後見人等候補者と本人との生活費等が十分に分離されていない場合
(9) 申立て時に提出された財産目録や収支状況報告書の記載が十分でないなどから,今後の後見人等としての適正な事務遂行が難しいと思われる場合
(10) 後見人等候補者が後見事務に自信がなかったり,相談できる者を希望したりした場合
(11) 後見人等候補者が自己または自己の親族のために本人の財産を利用(担保提供を含む。)し,または利用する予定がある場合
(12) 後見人等候補者が,本人の財産の運用(投資)を目的として申し立てている場合
(13) 後見人等候補者が健康上の問題や多忙などで適正な後見等の事務を行えない,又は行うことが難しい場合
(14) 本人について,訴訟・調停・債務整理等,法的手続を予定している場合
(15) 本人の財産状況が不明確であり,専門職による調査を要する場合
※東京家庭裁判所・同八王子支部作成の「成年後見の手引き」から転載
15の理由を見て、私はなんとなく納得してしまった。
うかつだった。でも私は、得意だったのだ。
みんなが見過ごしている資料を「私が見つけた。ちゃんと裁判所側には『答え(基準)』があったんだ!」と思った。
これらの「理由」は、妥当かどうかは別として、私にはとても納得しやすかった。
しかし普通の人たちは、裁判所がこのような理由で家族を弾き飛ばしているだなんて、想像すらできないだろう。
《こういうことが、家裁が家族の後見を避ける理由かぁ》と、妙に腑に落ちた。
しかし、それは真実の一端にすぎなかった、と今は思う。
下のグラフを見てほしい。
平成12年(2000年)の成年後見制度発足以来、律義に家族後見人は減り続けているのだ。
そして今は(令和3年統計)、家族後見人は7,852人、率にして19.8%、対する職業後見人等は3万9,571人(80.2%)になってしまった。
このグラフは、成年後見制度の大元締めである最高裁判所が毎年5月頃に発表している「成年後見事件概況」を、親族後見人と職業後見人等に絞って成年後見スタート時から令和3年までを私が独自集計したものだ。家族後見人と職業後見人等(弁護士・司法書士・社会福祉士など)の比率が平成25年に逆転した。現在(平成3年版によれば)家族後見人は19.8%の7,852人、職業後見人は80%に迫る2万5,925人(弁護士8,207人、司法書士1万1,965人、社会福祉士 5,753人)となっている。
家庭裁判所が説明する「15の理由」はウソではない。
しかし、どうだろう。
「15の理由」があるから、スタート時には[家族後見人が9割超だったのに]➤22年後の今[家族後見人は5人に1人以下]に減ってしまったのだろうか。
・被後見人の流動資産、毎年基準を超える人がますます増えているから?
・家族の対立が、毎年顕著に増え続けているから?
・家族に管理させたら危なっかしい資産の種類が年ごとに増えているから?
どれもそんなことはなさそうだ。
グラフを見て私が直感したのは2つ。
❶家庭裁判所の一貫した意思(家族はヤバいから士業後見を増やしていこう)
❷風が吹いてきたから士業の側に《どんどん仕事を増やしてもらおう》との動機が生まれた
ということ。
こんな考えが浮かんできたちょうどその頃、私にとって衝撃的な記事が朝日新聞に掲載された。
最高裁判所が「成年後見人には親族後見人がふさわしい」といい出した(2019年3月19日の朝日新聞朝刊の特ダネ)。
これは激震だ!! と思った。
家族には朗報だ(間違いなく)。
しかし私は、「うっ」と胸が詰まるような思いもした。だって私は『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』を書きあげる寸前だったのだから。成年後見制度が正気に返るなら、(それはまったく正しいが、でも)『本はボツになるかも』とドキドキしてきた。
ともあれ同年4月(つまり平成最後の月に)本は予定通り市場にリリースされた。
さて、1年後どうなったか。
なんのことはない、親族後見人は少しも増えなかった。
令和元年(2019年)親族後見人 7,779件(21.7%)、士業後見人27,634人(77.4%)
令和2年(2020年)親族後見人 7,242件(19.7%)、士業後見人29,211人(79.5%)
令和3年(2021年)親族後見人 7,852件(19.8%)、士業後見人31,399人(79.3%)
親族後見人は増えないどころか、ついに20%を切ってしまった。
これはいったいどうして?
最高裁判所がその場しのぎのウソをついたのだろうか。
それとも家庭裁判所が(大胆不敵にも)最高裁に盾をついた!?
どちらも考えにくい。
その原因は2年後、令和2年の成年後見事件統計で次のグラフが発表されて明らかになった。
分かりにくいので説明しよう。
左のグラフは令和2年の親族と親族以外の後見人(市民後見人も含む)。
親族 7,242人 親族以外 29,522人 ※先の数字との誤差は市民後見人数を含めているから。
構成比は、親族後見人が19.7%。(前年は21.8%だったのに2.1ポイントも下落!)
ところが右のグラフで、最高裁は今まで発表してこなかった数字を公表した。
令和2年2月から12月まで(つまり最高裁発表以降の期間)の後見等開始の審判で、「親族を後見人候補として申立書に記載した比率」である。
(こんな統計、あったんだぁ! と思った)
その比率たるや、わずかに23.6%。残り76.4%はもともと親族以外を候補者に挙げているんですよ、と。
(これは一本取られましたァ~! 「元々希望者が少ないんだ」といわれちゃったらね)
念のため計算してみよう。
この年の事件数は36,764件。その親族後見候補比率は23.6%。
つまり[36,764✕0.236=8,676人]
で実際に後見人等に選任された親族は7,242人だから
[7,242÷8,676✕100=83.5%]
なるほどねぇ、親族後見人が8割以上だ!!(最高裁はウソをついていなかった・・・・)
さりげなく最高裁民事総局の事務方の面々が、やりましたな。
見事に「家族後見増えてないじゃないか批判を一蹴!」というところだが・・・・。
私は《司法界に君臨する最高裁も、大人げないなぁ》と思った。
というより、語るに落ちているよ、司法官僚さん!
このグラフは見事でした。
問題の核心を明らかにしてくれた、という意味で。
私にとって、本当にほんとうに、驚愕の事実でしたよ。
後見等開始の申立書の「後見人候補に」と「親族の名」を挙げる人がこんなに少なかった、なんて。
「自分を後見人に」と当初は誰もが思っているのに、結局、申立書に候補者たる自分の名さえ書けない!
完全に、家族は委縮させられてしまうようだ。
最高裁がここまで開示したなら、もう一段、突っ込んだ質問をしたい。
申立書を書いたのは、本人や家族か? それとも司法書士か? 弁護士か?
圧倒的に執筆・構成は士業者ではないのか。
ここからは私がお客さまから聞いた話と、私の記者としての推理、そして行政書士として「私ならどう対応する?」と考えた結果を書くことにする。
結論を先に言うと、士業に親の認知症などについて相談した家族は、❶「家族が後見人になるのは難しいですよ」と言われる。続けてこうだ。「後見の審判開始申立書には<候補者>を1名しか書けないんですよ。お宅のケースでは<15の理由の○○○○に該当するので、家庭裁判所は法律専門職を選任する可能性が高いです。候補者としてあなたの名前を書くと、(欄は1個しかないから)専門家を選任する場合、誰が選ばれるかわからない。それなら私を・・・・>、❷やむなく(自分の名を外し)その士業の名を「候補者欄」に書くことに同意する。と、こんな情景が目に浮かぶ。
断っておくが、「士業」を批判する気は毛頭ない。法律専門職の難しさ、責任の重さは熟知しているから。
また<後見>という仕事の重大さと難しさは、前半に長々と書いた通りだ。
元々裁判所が掲げる「15の理由」は、普通の家族にとってはかなり高いカベだった。
⑵の流動資産ひとつをとっても(各地方裁判所は規準の金額を公表していないが、おおむね500万円から1000万円を超えれば専門家を選任するらしいので)かなり多くの人が「後見人は専門職か」と覚悟させられるだろう。
しかも成年後見制度に詳しい“先生”が見立てを話してくれている。
それなら『見ず知らずの士業に成年後見人になられるより、この先生に・・・・』と、傾いて当然だ。
後見を引き受けている士業なら「15の理由」は百も承知で、さまざまなケースを見聞きしているから、家族に「後見人はあなたがおやりなさい」とすすめないのも職業倫理として間違ってはいない。
成年後見の相談を受ければ当然、まず本人の現況や元々の性格を聴いた後に、本人の財産についても質問することになる。また家族の関係、つまり親子関係、きょうだい間についても「対立」がないかはゼッタイに聴いておく必要がある。ていねいな人なら、本人はどのような事をし、何を生きがいにしてきたのかなどを聴きながら、今後の後見方針を考える。そして本人や家族は成年後見で何をしたいのかを次々聞き出していく。
ヒヤリングの過程で、本人の預貯金や株式、生命保険の額を尋ね、金融資産が1000万円を超えるようなら『親族後見はむずかしそうだな』と考え始める。
あるいは▼遠くない将来に伴侶が亡くなり相続が発生する、▼きょうだいの仲はよくないこと、お金に対する価値観に差がある、▼自宅売却の予定がある、▼収益不動産がある、▼事業を行っている、▼家族はいるが、実は遠くに住んでいる、▼後見人になりたい人が高齢である――などの事情がわかってくると、さらに《家族による後見は無理》との心証は深まるだろう。
要するに士業にとっては、15の理由の中にすでに答えがあるわけである。
親族が選任されない恐れがある場合、相談者に「親族後見は難しそうだ」と告げ、意気消沈した家族に「大丈夫ですよ、私の名を候補者欄に書いて下さい。誠心誠意やりますから」ということは十分にあると思う。
別に商売の下心ではなく、『家族が後見できないなら、事情を聴いた自分がやってあげるべきだ』と士業なら考えるはずだ。
誰を後見人等に選任するかは、家庭裁判所の本人・家族とのヒヤリングと、最終的には裁判官の判断による。
その際、家裁は弁護士・司法書士・行政書士・社会福祉士などの各業界と市民後見を推進する行政機関から提出された「後見人候補名簿」を参考にする。その名簿に登載され、かつ後見実績のある士業なら、申立書の候補者欄にその名が書かれていれば、後見人等として選任する可能性は高い。
後見業務に手慣れた士業なら、次のようなことも分かる。
家族にとって親の認知症は、(これほど「認知症」が広く知られているにもかかわらず)青天の霹靂(へきれき)であり、たとえ予期していたとしても「そのときどうする?」までは考えていない。だから真剣に対処策について知識を求め、予習している人は極めて少ない。普通の家族は、どこまで行っても、認知症のことも、それに伴う成年後見制度についても深くは知らない。
だから誰の場合も、不用意に相談に行き、言われたままに申立書作成を頼み、結果が出てから、「そんな制度だとは知らなかった!」を繰り返す。
銀行も認知症の専門医も、介護等の施設であっても、地域包括支援センターや行政の窓口、社会福祉協議会でさえ、専門の担当者でなければ法的な問題を深くは知らず、また家族が<対成年後見制度>においてどれほど、どのように苦労しているのかまではほとんど知らない。家族は個々に分断されているので、その家族にとっては1回ごとに新しい事態であり、(思いもしなかった理不尽・不都合に)自分一人で立ち向かうような形になる。家族が何百万人いても情報がなかなか共有されないのだ。
実は、家族が首尾よく成年後見人になれた場合でも、数年前から成年後見人を務め何の問題も指摘されたことのない親族後見人が、ある日突然、「後見監督人を付ける」との指示書を受け取ることがある。本人に遺産が入る、夫の死亡保険金が入ったなどということがあれば「本人の流動資産額が増えたから監督人が付けられちゃったんだ」と見当がつくが、理由がよく分からないことも少なくないようだ。
また親族が後見人に選任された場合でも、❶信託監督人を付ける、❷日常的なお金以外は「後見支援信託に入れることを承諾すること」という条件を付けられることも多い。信託監督人の報酬は、後見人等の半分とはいえ、「ランニングコストは避けられた、よかった」との思いを砕かれる思いだろう。
後見支援信託を行う時は、専門職後見人が一時的に就任し、銀行を決め、信託する金額を銀行と交渉して決定する。もちろん家庭裁判所とも相談しながら。すべてが決まると専門職は退任して親族後見人が後を沿き継ぐが、専門職への報酬は20万円―30万円程度である。家族にとっては、これも痛い。
こんなことになるのが常態だとすれば、「早いうちに任意後見契約を結んでおけばよかった」と思う人が出てきても当然である。任意後見監督人の報酬が成年後見人等の報酬の半額であることを考えれば、「まだしもマシ」と悔しがるかもしれない。が、マシになるかどうかもまた不確かである。任意後見監督人という<相手>があることなので、家族の想い通りに後見事務を行なえるわけではない。
要するに家族の不満は、❶法定後見(成年後見・保佐・補助)を選ぼうと任意後見契約を選ぼうと、誰が後見人(または監督人)に選ばれるかが分からないこと。もう一つは、❷家族があまりに信用されていない(突然、確かな理由も告げられないまま監督人をつけられるななんて、家族後見人にとっては屈辱以外の何ものでもない! しかも拒否する自由がない !!)
この2つが、後見業務の専門家の事務所を訪ねたその結果、やすやすと「成年後見人の候補者」記入欄に、自分ではなく士業の先生の名を書いてしまう最大の理由である。
「見ず知らずの人よりマシでしょう?」
まったくその通り。その先生に後見実績があれば、特別の事情でもない限り後見人はその人物で決まる。家族は初見であっても、一度でも話を聴いて考えてくれたその先生に親のことを頼むしかない、と思い「お願いします」と頭を下げる。
“マシな選択”しか選びようがないこんなシステムが公的制度だなんて、本当に悲しくなる。
<初出:2023/9/25>
あなたの家でお悩みの問題をお聴かせください。
成年後見制度に委ねるより、家族信託という手法を使う方が悩み解消につながるかもしれません。
家族信託は委託者と受託者の契約ですから、すべての事案でオーダーメイドの対策を講じることができます。
成年後見人は意思能力を失った本人の代理なので、将来へ向けての「対策」は一切できないのです。
家族信託なら財産管理から相続対策のことまで、契約の中に盛り込むことができます。
《このようにしたい》という想いがあれば、受託者に動いてもらえます。
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石川秀樹が専門家としてご家族にとって最良の解決方法を考え、お答えします。
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