★「認知症」でお金が止められる⁉ 衝撃事実で、重版出来‼

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認知症の家族を守れるのはどっちだ
   成年後見より家族信託
A5判260ページ、本文カラー、1800円+税
親のお金が使えない、NHK「クローズアップ現代+」も注目!
凍結されやむなく成年後見? 元気なうちに、家族に信託?
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★成年後見より家族信託を使え‼ 認知症対策を徹底比較

成年後見と家族信託の比較

『認知症の家族を守れるのはどっちだ⁉ 成年後見より家族信託』
第2章第1項は「成年後見と家族信託でできる事 家族の役に立つのはどっちだ、全く異なる2つの制度」。
できる・できないを一覧表にして、徹底比較している。

 

成年後見家族信託を一覧表で比較

この大きな表は、本人が認知症になって判断能力を失ったときに、成年後見人は何ができ・何ができないか、同じく家族信託の受託者ならどうか、さらに「家族のひとり」としてなら―—、を比較した表だ。
まずは、ざっと眺めてほしい。

 

成年後見」と「家族の力」を比べると優劣(得意・不得意)がよくわかる。
家族信託の受託者は、家族のひとりであることがほとんどである。
だから[受託者として+家族として]できること、それが「家族の力」だ。
国がすすめる成年後見に勝るとも劣らない力を、家族は(結束していれば)発揮する。

 

後見と信託・家族の力

 

■一見、成年後見金融資産に強そうだが

『認知症の家族を守れるのはどっちだ⁉ 成年後見より家族信託』
では項目ごとに詳しく解説したが、この記事ではポイントだけを簡潔にまとめたい。
上から順に―――

  1. 不動産関係、成年後見は予想外に“成績”が悪い。家族信託は得意中の得意だ。(後述)
  2. 預貯金のことになると、今度は一転して、成年後見が強い。
    成年後見の最大の“売り”だが、そこだけを見てこの制度を使ってはいけない。(後述)
  3. 株や投資信託となると、「止め役」としては成年後見。しかし運用は不可。
    家族信託の受託者は、止めることも、運用することもできる。(後述)
  4. 生命保険の変更等の手続きは、成年後見なら認められている。
    ※しかし保険金受取なら、1000万円以下の場合は、家族でもなんとかなる。
  5. 遺産分割や遺留分等の法律手続きは成年後見の独壇場。(後述)
  6. 財産承継、節税対策となると、成年後見は原理的に「できない」。
    対する家族信託は、承継機能は120%OKだ。
    120%というわけは、家族信託の承継機能は遺言をはるかにしのぎ強力、かつ堅固だからだ。
  7. 特筆すべきは、経営や自社株のこと。
    成年後見に期待すべきところだが、ほぼ「無力」である。
    成年後見にできることは限定的で、社長が認知症になったら企業存亡の危機と思ったほうがよさそうだ。
    “社長の様子がおかしい”と感じた時に、家族信託をしておけば会社は問題なく継続できる。
  8. 22~28まで、身上監護や施設・病院関係の項目が並んでいる。
    成年後見に「○」がつく項目もあるが、後見人をしっかり監視した方がいい。
    仕事に意欲のない職業後見人が少なくないから言行をよく把握すること。(後述)

 

成年後見は手遅れになって使う制度

結論めいたことを端折って書いたが、肝心なことを言い忘れていた。
優劣を比較するなら、「比較」の前提を説明しておかなければいけない。

 

言うまでもないが、成年後見は、手遅れだからやむなく使う制度である。
認知症がひどくならなければ、誰だって、自分のことは自分でする。
少々意地悪い言い方だが、手を打てるときに手を打たなかったから、成年後見制度に追い込まれた。
つまり成年後見人の権能とは、本人が判断力を失ってしまうという“異常時”に、法の権限でもって「本人を代理する」ということにある。
いわば緊急避難であるから、できることは限定される。
30項目も「してもらいたいこと」を示したが、成年後見人ができるのは14項目だけである。

 

一方、家族信託は「追い込まれる前に危機に気づき、本人が健常か、認知症状の軽いうちに家族と契約する」という制度であり、成年後見とは使い方も発想も、まるで違う。
家族信託の受託者は、本人(委託者)から財産を信託され(信じて託された)たときに、財産の名義を委託者から自分(自分名義)に換える。
一覧表で受託者に「○」がつくのは、託されて管理処分ができる財産についてのみである。
(預貯金の解約は、「できない」というより「受託者の任務外」である)
それでも14項目に「○」がつく。

 

■「家族の力」はけっこう強い!

家族ができることは、本人の財産については(本人がボケてしまった以降は「代理」がきかず)ごく限られてしまう。
しかし身上監護的な項目(21以下)については家族の独壇場だ。
成年後見人が付されない限り、これまでは家族が身上監護を担ってきたのだから、当然である。
家族信託家族の力が加われば、認知症対策としては“最強”と言える。

 

受託者兼家族、つまり「家族の力」でできないことは、一覧表の右隅に「⇒(矢印)」を付けた項目だけであろう。
金融資産関係では、預貯金のことと生命保険の変更だけ(保険金は受け取れる)。
その他4つの緑色矢印は、法律が絡んだ項目であり、これは仕方がない。

 

一覧表にして、[○、△、×]と[⇒]を付けてみると、「どうしても成年後見制度に頼らなければならない項目は何か」がはっきりしてくる。
緑[⇒]の4項目だけである。
この中で、「遺産分割協議」だけは悩ましい。
遺産分割協議は法定相続人全員の一致でなければ決まらないので、意思能力がない人が相続人の中にいると「法定後見を」ということになりがちだ。
しかし以下の場合は、遺産分割協議なしでもOK(後見も不要)になる。
①遺言通りに分ける
②遺産が現金と預貯金のみ
③遺産に不動産が含まれていても、不動産は法定相続分で共有する
※②③で税務申告が必要な場合は、分割協議書が必要になります。
その他の場合は、本当に成年後見制度が必要かどうか、専門家とも相談して決めてほしい。

 

■定期預金解約の「先」を考えて!

さて、「5.預貯金口座の開設や解約、取引」について、もう少し解説したい。
受託者は一覧表では「×」とした(任務外であるから)。
家族の立場で銀行と交渉すれば、預金引き出し、ごくまれだが定期預金の解約も、応じてくれる場合がある。
また銀行カードによっては、100万円以下の定期預金の場合、解約できることもある。

 

ただ、ここで書きたいのはそんなことではない。
解約できなかった場合の家族の対応についてだ。
「5.」で大事なのは、入り口でなく、「その後」のことなのだ。
成年後見人は預金をおろせる、定期預金も解約する。
これにより、本人のお金を療養介護費に回すことができて家族は助かるが、
しかし成年後見を申立てるということは、①財産管理と②身上監護(病院・施設等の手続きなど)は以後、他人に任せる、ということである。
定期を解約した大金は、家族の手には渡らず、後見人が管理することになる。
その通帳だけでなく、すべての金融資産、不動産、動産、権利を成年後見人に渡さなければならない。
さらに老いた親にどのような療養看護をしてもらうかについても、家族は口を出せなくなる。

 

お金のことで追い込まれると、こういう重大な結果が待っている!
ということを、皆さんはご存じだっただろうか。
それが、『認知症の家族を守れるのはどっちだ⁉ 成年後見より家族信託』
を、私が書こうと思った最初の動機である。

 

ここまで踏み込んで成年後見制度を説明する専門家は少ないと思う。
私のもとに「こんな制度だと知らなかった」というメールが再三届く。
親に認知症のきざしが見えてきたとき、この制度を使うかどうかについて、前もって家族でよく情報共有をしておかないと皆が“混乱の渦”に巻き込まれる可能性がある。

 

■その先、を考えるなら家族信託

預貯金の問題について家族信託の受託者は、その入り口では分が悪いように見えるので、これも解説しておきたい。
金融機関に凍結された口座は、本人か公的後見人でなければこじ開けられない。
信託受託者の権能は、名義が受託者名になっていれば100%発揮できるが、受託者の出番は、解約請負人としてではなく、(もともと親の財産で、今は受託者名義になっている財産の)将来にわたり恒久管理人であることにある。

 

無事に親の財産を管理する権限を得られたら、後は他人や家庭裁判所に介入される恐れはない。
そのポジションを獲得するために、家族には「先を読む目」が問われる。
親に認知症発症の恐れがあるなら、大きなお金は(崩しにくい)定期預金などにさせない。
してしまったものは、元に戻しておく(定期を解約して普通預金に)。
定期と同様、銀行にすすめられ生命保険にした、投資信託にしたお金は、これも普通預金に戻させる。
わずかな利子や利益より、今のあなたには「動かせるお金」を持っていることの方が大事、と親を説得する。
頼まれれば「定期」にしてしまうお人よしはやめて!
老後を計算できる人になろうよ、と親子でよく会話する。

 

<親に無関心なあなた>だと、認知症という一つの病気によって、家族が大混乱に巻き込まれる。
認知症の怖さは、そこにこそあります
85歳以上になれば2人に1人は認知症になる(厚労省の2013年推計)。
誰も「うちとは関係ない」とは言えない超高齢社会に私たちは生きている。

 

後見と信託・家族の力

 

■不動産管理、成年後見人には荷が重い

重要な項目だけ細く解説しましょう。
2.不動産の売却、補修、賃貸、その他処分について
本人が行う場合と、様変わりします。
成年後見人は不動産管理については素人であり、かつまた、投資的な運用を家庭裁判所から止められているから。

 

成年後見の目的は「本人の財産を守る」こと。
空室率を減らすため、経営者なら補修を行うところ、後見人はそれをしない。
稼働率が落ち込み採算割れになると、成年後見人は不動産を売って現金にすることを考える。
それで財産の赤字を減らし、手持ち現金が増え後見人の報酬が上がる。
だから、本人が経営していた通りには、後見事務は進まない。
「○」はつけたものの、成績表としてつけるなら「×」か、甘くつけても「△」。

 

一方、家族信託の受託者は、委託者の意向通りに仕事をするから、本人の“分身”となる可能性が大いにある。
補修のためのローンも、後見では家裁に許可されない。
しかし受託者なら、信託不動産を担保にして行えるので「◎」を付けてもいいくらいだ。

 

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■証券大手が家族信託を始めた

80歳過ぎの人でも、株が大好きという人が男女を通じて少なくない。
しかし家族からすると「危なっかしくてしょうがない」
「ほぼ証券会社の言いなり」「買った株のチェックもしていない」
「なんとかやめさせたい」という声をよく聞きます。

 

認知症が進み、家族が困って証券会社に「口座凍結」を頼むと
「本人の意思能力が……」と言を左右にして応じない。
「どうしても止めたければ成年後見人を」という。

 

こういう相談を受けると、私は本当に怒りたくなる。
「昨日まで老人に投資を勧めていたのは誰か⁉ どの口が『成年後見人を』と言うのか」
こんなとき、私は金融庁の相談窓口の電話番号を教えることにしている。
とはいえこのような場合、家族が交渉しても、株を止めることさえ難しい。

 

証券会社が「家族信託口座」を作ってくれれば、話は一気に解決する。
しかし証券会社は「借名口座」で金融庁に責められているから、『それは無理だろう』と思っていた。
ところが昨年、大阪のエース証券と、証券トップの野村証券が相次ぎ家族信託口座を始めた。
大英断である‼
それまでは、有価証券投資で受託者ができることは何もないから「×」だと思っていたのに、
今度は委託者に代わって運用までできるようになり、いきなり「◎」となった。

 

この両社以外で証券運用をしていた場合でも、「移管」という方法で両社に商品を移すことができる。
ただしこの場合、本人が、取引をしていた証券会社に移管を指示しなければならない。
委託者の認知症が進んでいると断られる恐れがある。
早めの決断が肝要だ。
ここでも老後は待ったなしである。

 

成年後見人の身上監護は監視せよ‼

比較の最後に、身上監護について触れたい。
身上監護とは、「22. 介護契約や要介護認定の申請
24. 福祉関係施設への入退所や病院との入退院に関する契約
25.福祉施設等の処遇に対する監視・監督」がそれにあたる。

 

2000年の民法改正により成年後見制度が誕生し、それに伴い、「身上監護」は「財産管理」と並び成年後見人の仕事となった。
後見対象の中心は認知症の高齢者だから、入院や施設入所となる人が少なくない。
「だから成年後見人がしっかり面倒をみてやってね」というのが法の趣旨だったと思う。
そういう制度なのに、もったいないことに、多くの職業後見人は身上監護に不熱心である。
年に1度しか施設を訪れない後見人がいる。
中には、後見人に就任以来1度も本人に会ったことがない、という後見人もいる。

 

だから身上監護については、家族が「しっかり働いているかどうか」後見人を監視してほしい。
多くの士業後見人が福祉に関心がない。
社会福祉士も最近、後見人になることが増えてきたが、彼らが手厚く本人の様子をみていてくれるかは定かでない。
私は複数の人から、身上監護の後見人に選任された社会福祉士の“不熱心ぶり”を聞いている。
熱心な多くの後見人がいて、けしからんのは例外であることを祈るほかない。

 

■身上監護は家族に返してもらいたい!

いずれにしても、家庭裁判所に以下のように提言したい。
本人の近くに家族がいるなら、職業後見人に「財産管理」とワンセットにして「身上監護」を担わせることはない、
家族に行ってもらえばいいではないか(特段の事情がない限り)、と。
家族の方が本人のことをよく知り、気持ちも添っている可能性が高いからだ。

 

弁護士だから、司法書士だから、知能が高いから家族より信頼できる、という思い込みはやめてほしい。
人間性とは別である。
成年後見人は(本人ではないのだから)手術の可否や、延命について判断してはならない。
医師から延命措置について判断を求められても、答えてはいけない。
にもかかわらず、医師側をそんたくしてか、「延命(措置)は必要ないでしょう」と答えた成年後見人がいる

 

その後見人において、命の問題が軽い。軽すぎる‼
傲岸不遜であるというべきだろう。
この一事で、後見人解任理由として十分である。
家裁が「解任」にちゅうちょするなら、「辞任」を求めればいい。

 

こういうことがあるから家族は、職業後見人をよくよく監視しなければいけない
えらい先生だから何も言えない、などと縮こまっていては、認知症の人の悲しさ、つらさ、肩身の狭さは永久になくならない。
この制度は、本人の残存能力をいかし、本人らしく生きてもらう支えになろうとして発足した。
成年後見の実態が、少しでもそこからズレているなら、声を出さなければならない。

■   ■

成年後見家族信託の「できる・できない」徹底比較のつもりが、身上監護について触れたらエンジン全開になってしまった。
成年後見と言うと「財産管理」の話題一辺倒になりがちなので、一石を投じた。
皆さんには、「成年後見=財産の問題」だけではないことを知ってもらいたい。
成年後見を選択することは、(現行の運用だと)家族による身上監護まで投げ出すことにつながる。
実に悩ましい問題であることを、実は私も、家族信託の本を書き進めていくうちに気が付いた次第だ。

石川秀樹

 

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