★超高齢人生はどしゃ降り!? お金、認知症、家族のこと――家族信託で乗り切る方法<本のまえがきを紹介>

家族信託

こんにちは、『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』の著者の石川秀樹です。

この本▲▲▲の「まえがき」を全文掲載します。
なぜ<成年後見より家族信託>なのか。本書のメインテーマは、高齢になり認知症不安がある親の生活を「家族の力」で守るです。成年後見制度は、職業後見人を主流に据えて以来、家族を排除する方向(後見人の運用に口出すな!)がますます強くなってきました。家族中心主義とは真反対。そんな制度に取り込まれてしまう最大の要因は「親の預金が凍結されてどうにもならない」から。ならば元を断とうではありませんか。銀行に凍結させなければいい。その方法とは家族信託――
まえがきでは、100歳長寿の時代に認知症リスクを見過ごすわけにいかないことを強調しました。

■   □   ■

最近、「人生100年時代」と聞くことが多くなりました。頭では、よーくわかっています。
今は80歳で人生は終わらない。もしかしたら100歳まで生きてしまうかもしれない。この追加の20年は………
思考はいつもここで止まってしまいます。
そこで走り描きしてみました。1周回って、まだ先があります。

80歳過ぎてからがスムーズに描けませんでした。つまずき、つまずき、やっとゴール。いやはや、この20年、ずいぶん長いですねぇ。60歳からゴールまで「いよいよ人生第4コーナーだ」と、昔の人は考えました(といっても、ほんの10年と少し前の「昔」ですが)。80歳がゴールだと考えれば“第4コーナー”というたとえは当たっていました。でも今は……

そこから先、さらに20年あるのだとすると、「コーナー」というには長すぎます! サラリーマン時代はだいたい40年。それに匹敵する期間ですから、“老後時代”と言うべきでしょうか。

「60歳」と言えば、まだ若い盛りです。昔の唄に『村の渡しの 船頭さんは ことし六十のおじいさん』というのがありましたが、今は“おじいさん”どころではありません。でもその若さと元気、80歳まで続く人は滅多にいません。70代後半からの衰えは急。さらにそこから先の20年は、たぶん、どしゃ降りです。

人生第5コーナーはだいぶ過酷」、というのがこの本のテーマです。雨やあらしが吹くかもしれない。
お金は大丈夫ですか?
あなたは認知症になりませんか?
家族はいますか?
きずなはありますか?

自分がしっかりしている時ならともかく、心身ともに衰えを感じているときに、お金認知症家族という3つの不安をあなたは抱えるかもしれないのです。

「お金は大丈夫。老後に備えて貯めてきましたから」

そうですね。あなたはコツコツ貯めてきてウン千万円の金融資産をお持ちです。で、今その資産、すぐ使えるお金になっていますか? 定期預貯金、生命保険、株や投資信託になっていませんか?

あなたは認知症にならない人でしょうか。統計的には3人に1人の確率だともいわれます。だから運が良ければあなたは免れるかもしれない。でも、80歳、90歳になればどなたでも気力、判断力は落ちてきます。脳梗塞のリスクをかかえ、事故にあう確率も高くなる。認知症でなくても、意思能力を失う可能性は、低くはないのです。

その時に、使えるお金(つまり現金またはカードで引き出せるお金)がないと、あなたはすぐに経済的に行き詰まります。先ほど言った大きなお金、定期預金、生保、株や投資信託は、あなたに意思能力がなくなると金融機関に凍結されて“使えないお金”になってしまいます。預貯金は、同居する家族が交渉しても解約、引き出しができません。

でも大丈夫、そんな時に備えて介護保険制度を用意したし、成年後見制度も作りました、と国はいうかもしれません。
実は、「成年後見」がこの本の隠れた重要なテーマです。「とても使いにくい制度だ」という意味で。ふつうの家族がこれを使ったらもう大変。ほぞをかむことになります。

代わりに私は、「家族信託」という新しい財産管理法を推しています。認知症や高齢期のマネー対策として、使えます。だからこの本は「家族信託」を知ってもらうために書きましたが、<人生第4、第5コーナーのためのマネー学>としても活用してほしいと願っています。

なぜなら、私が想定していた以上に、「お金が凍結されて困った!」問題が大きくなっているからです。困った挙句、成年後見申し立てをする人が増えてきました。悪循環です。

法律にかかわる人間として、この制度の意義は承知しています。人生100年時代だからこそ、うまく活かしたい、とも思います。しかしジャーナリストの私は、この制度はふつうの家族を傷つける、大げさで、高飛車で、人間の気持ちがわかっていない者たちが「理屈」だけで運用を始めてしまった制度ではないか、と感じています。成年後見人候補としての「家族」を隅に追いやり、司法書士、弁護士等の士業後見人を7割以上も使うようになった今、その傾向はますます強まっていくでしょう。

この窮状を救わなければなりません。お金のことでふつうの家族を成年後見制度に追いむことは、この制度の本旨ではありません。しかし現実には「必要なお金なのに本人も家族も引き出せなくなっている」ために、ふつうの人々がこの成年後見制度に駆け込まざるを得なくなっているのです。

これから書くことが、皆さまのお役に立つことを願っています。

 

<初出:2019/5/3 最終更新:2023/2/10>

静岡県家族信託協会
行政書士 石川秀樹(ジャーナリスト)

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この記事を書いた人

石川秀樹 行政書士

石川秀樹(ジャーナリスト/行政書士) ◆静岡県家族信託協会を主宰
◆61歳で行政書士試験に合格。新聞記者、編集者として多くの人たちと接してきた40年を活かし、高齢期の人や家族の声をくみ取っている。
◆家族信託は二刀流が信念。遺言や成年後見も問題解決のツールと考え、認知症➤凍結問題、相続・争族対策、事業の救済、親なき後問題などについて全国からの相談に答えている。
◆著書に『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』。
◆近著『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』。
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