
2022.01.07
《家族信託は全国対応しています》★信託の契約書作成とコンサルティング/受託者への支援
実家の父が認知症!? 心配だから家族信託をしたいけれど、近くに専門家が見つからない。どうしよう……。 こんな方、少なくないのでは? 誰に相...
2022.01.07
実家の父が認知症!? 心配だから家族信託をしたいけれど、近くに専門家が見つからない。どうしよう……。 こんな方、少なくないのでは? 誰に相...
もっと家族信託! 石川秀樹のブログです
令和の銀行は高齢者にとっては「高いカベ」。判断能力が落ちてきているならなおさら。振込でも引出しでも、昔のように自由気ままは通らない。
ATMで引出し制限があり、窓口に行っても高齢者が大金を動かそうとすると銀行のチェックが厳しく、話がこじれると大騒ぎになる。
令和の銀行は昭和の銀行とは違う。
この変化、知っていてください。
高齢者がいる家庭は、“預けたお金”で翻弄されることになります!!!
こんにちは!
『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』の著者、石川秀樹です。
これからしばらくは、本で詳しく触れなかった「銀行と高齢者について」の記事を書いていきます。
第1弾は、「高齢者」というだけで大金を動かすのを超難題にしている、今の銀行あるある。
背景はいろいろあり、認知症問題だけではないようですが、結果的に高齢者は大迷惑。
認知機能が落ちてくると、困難は何層倍も大きくなって返ってくる、というお話です。
(以下、文体がそっけなくなります。です・ます調はやめて、ストレートに歯に衣着せずに書きます)
Table of Contents
高齢者に銀行は高いカベだ!
銀行はすっかり変わってしまった。銀行はもはやフレンドリーな存在ではない。
特に高齢者は、銀行を「味方」と思ってはいけない。
投資信託や生命保険――利ザヤがほしい銀行は、行員にノルマを課してリスクの高い商品を売り込む。
「お客さま」より、ノルマだ!
危険を承知か、それとも無責任にろくに知りもしないで、高齢のあなたに「仕組債※」などという超難解な金融商品まで売りつける。
※仕組債の危険については、下記のリンクをご参照ください。
★割に合わない「仕組債」のカラクリを知る (日経ビジネス電子版)
これなどわかりやすい危険で、耳を貸さなければいいだけだが、次の話はもっとヤバイ。
あなたが大きなお金を動かそうとするときのことだ!
お年を召し足元がおぼつかないあなたが、振込みであろうと、引出しであろうとお金を何とかしたいと思ったときには、うまくいかないものと覚悟した方がいい。
そこには“高齢者差別”が厳然としてある(と私は思っている)。
銀行は利ザヤ稼ぎに転じてしまった。
そして精神が貧しくなった銀行は、自らの責任で高齢のお客さまを守り便宜を図るという心意気を失っている。
高齢者を思いやるどころか、<わがままでめんどくさい、判断力が定かでない厄介者>として見るようになってしまった。
「銀行が変わってきた」と私がいくら叫んでも、今この記事を読み始めた40代、50代、そして60代前半までの人は、あまりピンと来ないかと思う。
なぜなら、その年代までの人は、銀行で困ったという経験をほとんどしていないから。
でも、あなたの親御さんの世代となると、「銀行」はまったく違う存在になる。
70歳を越え、80の大台を越え、歩き方が覚束なくなり、判断力が落ちてきていると、銀行の対応は変わる(表面上はにこやかで親切そうに見えても)。
変わってしまった理由?
ひとつは、高齢者をねらう詐欺の横行。
社会の高齢化とは別の話だが、銀行はマネーロンダリングにピリピリしている。
覚せい剤密売やその他ありとあらゆる反社会的犯罪から得た“黒いマネー”も、いったんATMを通してしまえば「きれいなお金」に変わってしまうから、振込みへの対応が厳しくなるのは、まあ当然。
だからATMを使う場合も、前ほど気楽ではなくなった。
さらにもうひとつ、銀行が頭を抱える要因がある。
いうまでもない、高齢のお客さま(口座の名義人)の認知症問題だ。
認知症高齢者の急増という社会背景が、銀行の現場を悩ませている。
私の体験からお話ししたい。自分史上、けっこうショッキングな“事件”だった。
昨年、地元の信用金庫でATMから30万円を振込もうとした時のこと。タッチパネルで「振込」をタッチして、キャッシュカードを入れたのに、カードが戻ってきてしまう。何度やっても同じ!
『んっ、また磁気切れか!?』
むっとした表情を押さえながら窓口に行き、「このカード、おかしいかも」と調べてもらった。
磁気には問題なし。原因がわからず銀行も困惑。すると別の行員がワキから「お客さまはおいくつでしょうか?」と聞く。
「68だけど」と答えると(私は近ごろ歳を聞かれるといつも「68」と答えている。高齢であることは、なぜか不利にしか働かないので。まぁ、自衛だ)、「それでわかりました」という。
なんと、年齢制限だった!
わたしの地元の静岡県内の信用金庫では、
<県警察本部との連携により、振り込め詐欺防止対策のため、65歳以上でATMにおいて直近3年以内にキャッシュカードを利用してお振込をされていない口座のお客様はキャッシュカードによるお振込ができません>ということになっていたのである。
2018年8月からこのような運用に変わったようだ。
確かに私は、法人用の口座からは何度も振込をしていたが、個人口座からの振込はここ数年、したことがない。
それでこんな決まりができていたことを知らなかったわけなのだが……。
窓口で頼めば送金すること自体はできるが、まさか自分が高齢(?)になったためにATMの利用制限を受けていたとはね。
このことが気になったので、最近の銀行関係の事情を調べてみた。
都市銀行も最近はこんな感じだ。静岡銀行のリリース記事―――
「以下の条件を両方とも満たすお客さまに対して、上記制限実施日よりキャッシュカードによる振込を停止させていただきます」
▽制限実施日 平成29年7月3日
▽❶ 70歳以上のお客さま
▽❷ 過去1年間以上、当行のATMで振込を利用しなかったお客さま。
▽制限する理由 還付金詐欺・振り込め詐欺からお客さまを守るため。
これも静岡県警本部からのお達しによるものだった。
制限年齢を上げてはいるが、ATM未使用の期間は「1年」に短縮。確かに高齢者、特に男性はお金のことにうといから、対象になってしまう人も多いに違いない。
全国の都市銀行でも右にならえの傾向があるから、あなたの地元でも、年齢による振込制限は広がっているだろう。
なお、ついでながらこれも書いておこう。
以上はキャッシュカードからの振込に年齢制限があるという話だったが、現金振込はもっと厳しい。
ATMで振込める現金は全国どこでも「10万円以内」だ。1円でも超えれば窓口に行かなければ振込めない。年齢に関係なく、全員なのだ。
これ、高齢者差別ではなく「犯罪収益移転防止法」という法令によるのだが、「不便」といえば本当に不便である。
「詐欺防止」は聞こえがいい。かつ、間違ってはいない。高齢者を守るであろう。効果もある。
だから「不便!」と思っても、大多数の人は怒りの声を上げないのだろう。
いやいや、実は普通の人々にとっては、「不便」でも何でもないのかもしれない。
今は何かにつけインターネットで買える。支払いは銀行を介さず、クレジットカードでの決済だ。
銀行に行く必要がまったくない。
コンビニ、デパート、スーバーマーケットでの支払いも何らかのカード。財布から現金を出して小銭まで合わせようとモタモタしていようものなら、後ろの人から舌打ちされかねない。
しかし、こういう便利な時代が、高齢者には“とんでもない落とし穴”になるんですよ!
ここまでの話、<振込>から書き始めたので、私がむきになってもあなたにはピンと来ていないかもしれない。
ならば、75歳以上の高齢者になったつもりで次の問題を考えてほしい。
次の問題とは、引出しの不便さだ。
若い人にとっては、これも問題ないであろう。たいていのことはキャッシュレス。「現金」なんか、出番がない。
だから現金を引出すために銀行に行くこともあまりないだろう。
しかし高齢者にとっては、引出しがうまくいくか、トラブルを起こさずに現金をゲットできるかは死活問題になる。
何を言いたいのかと言えば、「年金」の話である。
2カ月に1回、公的年金が金融機関の口座に振込まれる。
年金支給を申し込む際、大多数の人は口座振込を選ぶ。年金受取口座を決めるのだ。
高齢夫婦の平均的な毎月の生活費は28万円くらい。それに対し老齢年金額は夫婦で月額約22万円。
少しばかり足りないとはいえ、 “老後の生命線”ともいえる大切なお金だ。
『認知症!?』と見とがめられて、口座凍結なんかに遭ったら、とんでもないことになる。
《失敗できない……》
だから、引出しの機会のたびに緊張する。
だがその引出しに銀行は、<高齢である>ことを理由に制限をかけ始めているのだ。
働いていない高齢者にとって、頼みの綱の年金は年に6回支給される。
認知症の高齢者は、軽度の人を含めれば、現在でも800万人いる。
比率は65歳以上の人の20%に過ぎないが、85歳を越えると2人に1人は発症する。
認知症懸念があれば、少しでも引出時のリスクを避けたい。
それなのに、1日の引出上限がどんどん下げられている!
ATMで1日に引出せる上限額は、年齢に関係なく50万円が標準だ。コンビニATMだと20万円。
1度に50万円おろせるなら“楽勝”だ。年金額がそれを超えることはない。
まあそうだろう。年に6回のリスクをなんとかしのげばいいのだ。
(高齢者でなければ、上限額がいくらだろうと「めんどくさいな」を我慢すれば何のリスクもない)
ところが今、銀行で年齢による差別が始まっている。
インターネットで[銀行_高齢者_引出し制限]の文言で検索したら、こんな記事が引っかかって来た。
「70歳以上のお客さまへ」と名指しである。首都圏の地方銀行のサイト。
《✕✕県警察本部指導のもと、✕✕銀行では、お客さまの大切なご預金をお守りするために、以下のとおりATMでのキャッシュカードによるお振込み・お引出しを一部制限させていただいております。
制限させていただく内容
キャッシュカードでお振込み・お引出しできる金額が1日20万円までとなります。》
※「70歳以上」の全員ではなく、振込は過去3年間カードによる振込なし、引出は1年間、ATMで一度に20万円超の引出しがない人、と範囲を狭めてはいる。(つまり口座を活用している人はOKだが、使っていない高齢者の引出し額は抑える、ということ)
それって地銀の話でしょ、メガバンクがあるから大丈夫……だろうか。
★三菱UFJ銀行
80歳以上かつ、過去1年間にATMでのキャッシュカードの取引がない顧客のATM引き出し限度額が制限される。金額明示はなし。
★みずほ銀行
ATMの取引状況を総合的にみて、一部の顧客については、ATM利用限度額をあらかじめ設定されている限度額より下げる場合がある。これも金額明示を避けている。庶民の多くが頼みとする★ゆうちょ銀行はどうか。ネットにこんな書き込みがあった。
《4. ご利用限度額引き下げの内容 2020 年7月 20 日以降、対象となるお客さま※の 1 日あたりのATM出金限度額を 10 万円に引き下げさせていただきます。》
※印の意味は、過去1年間を通してキャッシュカードによる現金引き出しをしていない口座
なんと、年金受取口座が最も多い全国の郵便局で、引出し上限が10万円になってしまうのだ!
さらに共同通信は先日(2023/7/26)、こんな記事を配信した。
《全国で相次ぐ特殊詐欺の被害防止に向け、政府内で高齢者名義の銀行口座のATM利用を制限する案が検討されていることが26日、分かった。名義人が65歳以上で、取引が1年以上ない預金口座はATMを使えないようにする案が出ている。》
便利なコンビニATMを使わせず、銀行に行けと?
いやいや、コンビニATMだけを技術的に止められるのだろうか?
いっそ口座そのものを凍結させよう、ということならないか!?
これほど愚かで、かつ乱暴な政府案が、賢い国民のいる日本でそのまま通るとは思えないが、特殊詐欺ごときの対策のために高齢者の口座を丸ごと金融流通から締め出してしまおうとは……。
心底あきれた。
政治家たちの世間知らずにもほどがある。
「高齢者の休眠口座など閉めてしまえ!あるだけ詐欺を助長するだけだ」とでも考えているのだろうか。
※この記事、ヤフーニュースに転載されて3384件もの批判コメントが付いていた!
ここまでATMのことばかり書いてきた。
高齢になり、かつ認知症の症状が出ていることを銀行に見抜かれた場合、上の記事のように、口座そのものを一方的に止められる恐れがあるからだ。
そう、私は<認知症の懸念がある場合は、銀行や郵便局に本人が行くのはやめた方がいい>と考えているのだ。
警察は詐欺を防ぎたい。
銀行は高齢の預金者はダマされやすい厄介者(おまけに、その何十%はすでに認知症でもっとめんどくさい存在)と思っている。
政治家は事件の表面だけなぞって、「対策」と思って、あるいは「妙案」とばかりに、元も子も失くさせてしまう“口座凍結まがい”の法律を作ろうとする。
さもなくば、使いづらくて悪評の「成年後見制度」をごり押しか?
ATMがダメならあなたは、本人を連れて銀行の窓口行ってくるというかもしれない。
本人が出向けば状況は一目瞭然(かなりリスキーな行為だと思う)。
実は、家族の代理も今の銀行にはほとんどきかない。
フロアに委任状など置いてない。(必ず窓口で事情を説明しなければならない)
事情を首尾よく話せても、今度は本人に「意思確認」をする。
しっかりとやってほしいことを話せるだろうか。(以前ならなんでもなくできたこと。今は大丈夫?)
本人を連れて来なければ自体はもっと悪化する。
銀行からの電話に本人は、誰の助けも借りずに状況を把握して自分の意思を伝えられるだろうか?
便利なATMを止めれば、判断力が低下した高齢者をこうした“苦境”にさらすことになる。
あなた以外の反応は、ことごとくピント外れである。
銀行も郵便局も、警察も、自分たちの組織を守るために「引出し制限」を行っている。
政治家も、あなたや私の声を聞かないで、そんな対応をさらに進めようとする。
この流れは、どうやら止まりそうにない。
それなのにあなたは親のことに無関心でいいのか?
《お金と銀行と高齢で認知症になるかもしれない親のこと》に無関心でいすぎないか?。
今はそうなっていないにしても、本当に『私には関係ない』で済むのか?
現実に、突然口座を凍結される人がいる。
ATMをいくらいじってもカードがそのまま返されてくる。
その場に至って、「なんで?」「どうして!?」「あれあれ、これは……?」と騒ぎ出す。
はっきり言って、そうなってしまったらもう遅い。
成年後見制度を使うか、今後は自分が立替えて親の晩年を支えるかしかない。
でも普通の家族にとって、「親の生活費を出す」なんてほとんど不可能なこと。
親と年に1度か2度であっても、交流がある人には親のわずかな“異変”に気づけるはずだ。
認知症には典型的な初期症状がある。
あなたももうご存知なのでは?
短期記憶が著しく衰える。「さっきのことを覚えていない」という現象だ。
『なんだかいつもと違う』と感じたら、もう行動するときだ。
経験しているからはっきり申し上げたい。
親は子にSOSを求めませんよ!(親はそういうものなのだ)。
だから“晩年の悲劇”を防ぐには、子が気を回し、親の様子に関心を持つしかない。
そして今年の阪神ではないが、『あれっ!? 』があったらそれこそが認知症のサイン。
あなたは行動を起こすべきだ。
いきなり家族信託出なくてもいいですよ。
まず聞いてほしい。
「通帳はある? 紛失したことはない?」
「キャッシュカードはちゃんと使えている?」
「私が代わりに(銀行/郵便局から)おろしてこようか」
急にお金のことを言いだすと、いぶかる親もいると思いますが、
「心配なんです」とはっきり言ってあげましょう。
親の反応はそれこそ千差万別で、喜んでくれる親ばかりではないですが、最近の事情を話してあげましょう。
親だって、75歳を過ぎるころには体力や意思・判断力の衰え(がある場合は)自覚するようになる。
子が欲や得のために心配するふりをすれば見抜かれるが、本当の心配は頑固な親にも通じます。
聞く耳をもってくれたら「代理人カード」のことを話してください。
通帳とハンコだけでなくキャッシュカードを持ってもらう(ATMが使えるようになる)。
私の場合、それさえ難しいことでした。
母はカードを持たない人でしたから。
それが晩年、どうしたわけか父が勧めてメインの口座にキャッシュカードを持ったようなのです。
カードはあるだけで使った形跡はありませんでした。
でも7年後、寝たきりになって以降、そのカードのおかげで母の口座は最後まで活用されました。
老人病院に移る日、通帳一式とそのカードを私に手渡してくれたので、あらゆる費用をまかなえました。
父の場合も同じです。
90歳で脳梗塞で倒れたのですが、筆談でカードのあり場所と暗証番号を書いてくれたので助かりました。
つまり、わが家も危機一髪だったというわけ。
用意周到に乗り越えてきたのでもなんでもない。
親が“滑り込みセーフ”にさせてくれたのです。
先に書いた「代理人カード」は、経験した者の後知恵です。
周到に親の老後に向き合うなら、代理人カードは必須だ、と感じていたので。
カードだって壊れます。失くすこともある。1枚より、代わりがある方が安心。
だから親とお金のことを話せるようになったら、代理人カードを提案してみてください。
小さな一歩に成功すれば、もう少し緻密な用途がある家族信託にも目が向くようになるでしょう
(初出:2023/12/16 )
あなたの家でお悩みの問題をお聴かせください。
成年後見制度に委ねるより、家族信託という手法を使う方が悩み解消につながるかもしれません。
家族信託は委託者と受託者の契約ですから、すべての事案でオーダーメイドの対策を講じることができます。
成年後見人は意思能力を失った本人の代理なので、将来へ向けての「対策」は一切できないのです。
家族信託なら財産管理から相続対策のことまで、契約の中に盛り込むことができます。
《このようにしたい》という想いがあれば、受託者に動いてもらえます。
実際にあなたはどのような問題を解決したいですか?
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石川秀樹が専門家としてご家族にとって最良の解決方法を考え、お答えします。
※異変に気づいたらすぐにご相談ください。相談は無料です。