★任意後見開始を申立てたら成年後見に誘導された

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では私は、法定後見人になれますか?


母には約1億円の資産があり、元気なうちにと任意後見人契約を私と交わしています。
ライフプランも含むしっかりした内容です。
母は78歳でアルツハイマー型認知症となりました。介護1です。
ところがその介護や医療サービスを巡り、弟と叔父と私の間で意見の相違があります。
ふたりは成年後見の方がいいと頭から信じ込んでいます。
先日家裁に任意後見監督人選任の申し立てをし、審議官と面接をしてまいりました。
そこで四時間近くにわたり我が家の事情を説明させられ、最後には
「トラブルを回避するためにも法定後見人を立てるべきだ」と強く勧められてしまいました。
私が法定後見申立てを行えば、私が後見人等(補助人・保佐人・成年後見人)になれるものでしょうか?

 

家族に対立があるから、あなたはなれないでしょう


たいへんなことになりましたね。
家庭裁判所に任意後見の監督人選任を申し立てしたのに、家裁の審議官からは
「成年後見制度」の利用を強く促されたとのこと、思いもよらない展開だったのではありませんか?

ご家族間の対立がある場合、このような形で「任意後見」から「成年後見」に誘導されてしまうのですね。
任意後見という、それなりに”使えそうな制度”があるのに、成年後見に比べあまりに利用者が少ないことをいぶかっておりましたが、こういうことだったのかと、正体を見たような気がしました。
いやはや、・・・・・私も想定外でした。

結論を先に申し上げます。
あなたが後見人等に就任する可能性はほとんどゼロでしょう。
①親族内に対立がある
②1億円のうち金融資産の額が多いこと
――を考え合せると、家裁の審議官もあなたを後見人等に据えることは考えていないでしょう。

 

■任意後見人になるには、あなたに信用がなければ

ではどうすれば家裁側の提案を蹴って、予定通りの任意後見に持っていけるか、です。
目の前にいる審議官に、あなたを信用してもらうしかありません。
①お母さんのことを思っており、かつ冷静沈着であること
②社会に通用するひとかどの人物であること
③金銭欲がないこと
④親族対立は、話せば誤解が解けることを説明

その上で、あなたの心からの気持ちを伝えてください。
あなたが法的後見に移ることを拒みたい理由は―――
①母は私に後見されることを強く望んでいる。
②それを実現することは立法の精神にかなう。
③家への愛着はとても強いので、自宅での介護を続けたい。
④万が一施設に入れるようなことになったら母は、それなりのグレードの施設を選びたいと言っている。お金は母のものであるから、自分の療養看護のために自分のお金を自由に使ってもらいたい。法定後見になると、その母の望みは「本人の財産を守るため」との詭弁ですべて捻じ曲げられ、逆に「措置」のように扱われてしまう―――

 

■任意後見と成年後見には橋が架かっている!

ところで、あなたからの相談を受けてふと気になったので、確認してみました。
任意後見は法定後見(補助・保佐・成年後見)への”導火線”になるのではないか、という問題です。

任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号)
(後見、保佐及び補助との関係)
第十条 任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、後見開始の審判等をすることができる。
2 前項の場合における後見開始の審判等の請求は、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人もすることができる。
3 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは、任意後見契約は終了する。

 

危惧した通りでした。
任意後見と法定後見は元々「成年後見制度」の枠内にありますから、両者には橋が架かっているのです。
家庭裁判所が「本人の利益のためになる」と判断すれば、法定後見に移行させることができる。
多くの解説が巷には出回っていますが、このことに注意を喚起する解説は見たことがありません。

 

■「任意後見より成年後見」の流れ、あるのでは⁉

もう一つ気になったのは、審議官の対応は「親族がもめている場合、任意後見では本人を守りにくいので、法定後見に移行させるように」というのが裁判官のマニュアルになっているか、あるいは最高裁判所からその類の指示や通達が出ているのではないか、ということです。

そこで成年後見制度の大元締めである最高裁判所家庭局に電話で取材してみました。
同局の第二課家事手続第二係の係長が応答してくれました。答えは
「任意後見契約と公的後見制度は、制度としてはまったく別物です。
家庭裁判所が裁判官の指示に基づいてそのように動いているなら、家裁に聞いてみたら?」
と、型通りの回答が返ってきました。
でも素直には信じられないんですよ。
現場の事務官がそう判断する裏には、「任意後見より成年後見に」という流れがあるような気がしてなりません。

最高裁民事総局の「成年後見担当部署」である第二課家事手続第二係の係長は
「民事総局として全国の家庭裁判所に『任意後見の申立て→成年後見を含む法定後見に誘導』という指示を出し、そういう流れをつくっている、という風には認識していない」、ということでしたが。
『本当かなぁ』と思いが、今もぬぐいきれません。

 

■あなたの審議官説得にかかっている

いずれにしても、任意後見で行けるか、法定後見に強く誘導されるかは、審議官が「本人(お母さん)の常況確認」を裁判官にどう報告するかにかかっています。
心を込めて自分の心情を審議官に伝え、あなたの家庭の事情を理解してもらい、任意後見契約の方が母のためになることをやわらかく説得してください。

それともう一つ大事なことは、親族内の意見を一つにまとめることです。
あなたがどれだけ説得しても、弟さんが法定後見を申し立ててしまえばおしまいです。
そうなったらあなたは「補助相当」であることを主張する以外に方法はなくなります。

※結局この問題は「任意後見の開始」で決着しました。
(質問者とは回答するために面談し、さらに数回メールでやりとりしました)

静岡県家族信託協会 石川秀樹

 

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石川秀樹石川秀樹

石川秀樹

石川秀樹(ジャーナリスト/行政書士) ◆静岡県家族信託協会を主宰 ◆『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 家族信託より成年後見』の著者 ◆新聞記者40年。61歳で行政書士試験に合格。 ◆「お悩みを聴かせてください。大丈夫、解決できますよ」が信念。

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石川秀樹

石川秀樹(ジャーナリスト/行政書士) ◆静岡県家族信託協会を主宰 ◆『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 家族信託より成年後見』の著者 ◆新聞記者40年。61歳で行政書士試験に合格。 ◆「お悩みを聴かせてください。大丈夫、解決できますよ」が信念。

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