★『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』認知症問題の先にある相続を乗り切る秘策とは=家族信託の本第2弾

家族信託

人生後半には2つの危機が待っています。「認知症」と、あなたの「相続」。2つの難題を解決する家族信託の本を出版しました。
『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』です。『認知症の家族を守れるのはどっちだ!?  成年後見より家族信託』に続く第2弾。
認知症はわかりやすい危機ですが、誰にでも訪れる相続が、実はヤバイ! そこに焦点を当てました。

老後に2つのリスク

  ▲画像をタップするとAmazonの本書販売ページにジャンプします(以下、すべての画像で同様です)

あなたの認知症は、意思能力の喪失を理由に、銀行などの口座が凍結されて「自分のお金が使えない」という事態を招きます。
一方、相続リスクとは?
日本の民法が問題です。相続人は血族で固められ、配偶者のみが例外的存在。
血のつながりはなくても特別扱い。相続人が妻(夫)であるとき、税制上では大優遇が得られます。
しかしここに“落とし穴”があるのです。
母と子は、相続においては常に「利益相反」の関係となります。親子でも、相続人同士になると相対する関係に。理不尽に争い合わないように、民法は、法定相続分という一応の目安を設けました。さらに、「これ以上相続人が不利な状況に追い込まないように」と遺留分まで設けたのです。公平を旨としたわけですが、子に遺留分の侵害額請求をされると《母の老後》は途端に厳しいものにならざるを得なくなります。
一方で、血を分けた兄弟姉妹であってもこと相続となると激しく対立することは少なくありません。きょうだいの相続分は「平等」とされていますが、性格もさまざま、現在の境遇も違う。親の援助を受けた、受けない、親の介護をした、しない。財産の取り合いになったとき、実利と感情ばかりが表に立ち、対立は憎しみにさえ変わりかねません。争族となったら、全員が傷つき、全員が損をするといっていいでしょう。
こういうことはわかっているのに、何も対策しないというのは、無責任です!

 

凍結はひどい

話を戻します。まず「認知症」対策から始めましょう。
銀行は、預金者の認知症を知ると《お客さまの取引の安全を守るために》、本人や家族に伝えないままいきなり口座を凍結します。
なぜ銀行は預金者の認知症を知るのか。
▼通帳やキャッシュカードを何回も失くす▼フロアでの本人の挙動▼「親が認知症になったので……」不用意な家族の自白▼ATMの不自然な動き
――ピリピリしている銀行の緊張感と、あまりに無防備な本人や家族との間には大きなギャップがある。
それが悲劇を引き寄せます。
銀行はもはや、あなたやあなたの家族に“フレンドリーな存在”ではない、ということを肝に銘じてください。

 

認知症が重たい

認知症という誰にでも起きるかもしれない症状のために銀行口座が凍結されるなんて、ひどすぎる!
だから本書では、家族信託成年後見という重々しいツールを使わずに「預金の凍結を免れる方法」も提示しました。
▼代理人カードや▼予約型代理人サービス、そして▼日常生活自立支援事業など……。
どれもコストをかけずに、当面はお金の引出を継続できる方法です。
ただし「代替策」はいずれも“応急手当”。凍結危機の完全回避ではありません。
それなのに、代替法で「安心しちゃう人」が大半です。(無理もないとは思いますが)

ただ、そういう人は、その先にある「相続」のことにも無頓着なのではないかと心配なんです。
対策の必要性を何も感じていないとしたら、やはり無防備すぎると思います。
ひと山超えても、その先に来る相続はもっと難事業なんです、最近は

 

新しい発想で対策

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これから先は、あなたの相続の話
言いたいのは、カット見出しに書いた通りです。
相続に関する正しい知識と、相続人の誰からも不満が出ない相続にするには「相続の技術」が不可欠です。
正しい知識、ほんの一例ですが――
法定相続分 各相続人の取り分として法律上定められた相続割合。ただしこれは「基準」であって、「義務」ではありません。だから相続人が一致すれば、どのように分けてもいいのです。
遺留分 相続人が最低限の遺産を確保できるよう民法で決められた割合。原則は法定相続分の半分ですが、兄弟姉妹が相続人の場合は遺留分がありません。遺言しても遺留分を侵害することはできません。侵害した場合、権利を主張されると必ず取り戻されてしまいます民法では、遺言者の思いより相続人の“権利”の方が保護されるのです。だからこそ、相続の技術が必要。遺言者の思いを生かすために使うツールなら、家族信託の一択です
相続人が遺留分侵害額請求をしなければ1年で時効。相続人が所在不明などで相続があったこと自体を知らなくても、10年で時効となります。
最悪10年間も遺産は宙に浮きますが、逆に言えば(遺言者の死亡を知らしめれば)最短1年で決着するわけです。家族信託の活用法を本書では、ていねいに事例を紹介しながら解説しています。

 

2つの配偶者優遇

今の日本の相続事情は、上に書いた通りです。
いったん認知症のことは忘れてください。
ここからはもっと深刻な相続の話です。

妻は税優遇されるがためにかえって大きなリスクを負う!?

「夫婦は一心同体」さすがに税務署も、配偶者にはやさしい心配りで相続税は大幅軽減。自宅の土地は8割引きで相続でき(小規模宅地の特例)、遺産は1億6000万円までは非課税。遺産額が5億円でも100億円でも、法定相続分、つまり課税遺産総額の2分の1までは相続税がかかりません! 配偶者の税額軽減です。一見、円満相続を援けているように見えますが……。今の時代、優遇されるために返って大きなリスクを負うかも。
1次相続で母を優遇。すると、そのツケは子に回ります。母が(いったん)相続した財産を子が相続すると、今度は税制のおまけなしですから、とんでもなく重い相続税にのけぞる結果になります。
私は子に同情しているのではありせん。母のことが心配なんです。「2次相続のことまで考えて遺産分割を考えましょう」と税理士は言います。正しいですよ、その考えは。ただし母親の立場で考えれば、『とんでもないリスクを私が背負わされる結果になる』ということになります。母は当然、自宅を相続するでしょう(ふつうは)。しかしこの「ふつう」が問題です。地価が高い日本では(特に東京・名古屋・大阪・福岡などの大都会では)。するとどうなります? 
夫から見て、妻が家を相続した瞬間に、妻は法定相続分を軽々と超えてしまう。だから、相続技術的には、夫が遺言を書いて子の法定相続分を半分にする(つまり強制的に「遺留分」を発生させる)必要があります。しかし東京などの異常に高い地価では、この手法さえ通用しません。遺留分でさえ高額ですから、母親は現金で子に遺留分を払うなんて到底無理……。

 

二重課税になる

この場合、親孝行な子なら、法定相続分も遺留分も請求せず、「お母さんの生活拠点だからお母さんが相続して」といってくれるかもしれません。
しかし民法に拠る相続は、この孝行な子たちに冷水を浴びせます。
日本では、地価が全然下がっていない。母が相続して数年たったから地価が下がる、なんてことは起こりません!
これが子には重い負担になります。
母が亡くなり2次相続が発生。子の母への配慮が完全に“裏目”になって返ってきます。
子が母の自宅を相続すると、土地の価値は下がっていないので実質的には“二重課税”となります。
しかも今度はおまけ(2つの優遇税制。子が母と同居していない限り)なし。
母に財産を譲った“孝行な子”に莫大な相続税がかかってきます。

 

地価が母を苦しめる❶

このように、高い地価は“円満相続”を破壊します。
民法の「法定相続分」という決まりが、夫を亡くした妻を苦しめます。今度は具体例で示しましょう。
不動産や預貯金を合わせて夫が遺してくれた資産は5000万円。妻は『ひとりになっても大丈夫』と思っていました。2人の息子の支えもあるし……。甘い予測がもろくも崩れます。
遺産分割協議で、欲張り長男が「法定相続分」を主張すると、子の相続分は計2500万円。
妻が自宅を相続すればそれだけで妻の法定相続分を500万円もオーバー。次男がとりなし、代償金支払いだけはなしになっても、頼みのお金はゼロ円。夫の遺族年金だけでどうして暮らしていくのか。妻は暗たんたる思いです。
夫が遺言を書いてくれていれば、子の相続分は遺留分相当の計1250万円になり、現金も750万円得られますが、やはり不安が残る金額です。

 

地価が母を苦しめる❷

同じ話、東京ではどうなるか。土地だけで1億円では、法定相続はとうてい無理。遺留分支払いさえ銀行ローンで“返す”しかない、という悲惨な状況に追い込まれます。
認知症の懸念がまったくなくても、今の日本の相続はこのありさま。
尋常な手段での解決は不可能!と断言できます。
そこで本書では、プロがゼッタイに勧めない「土地の共有」を提案しました。
専門家は「共有だけはやめなさい」といいます。所有関係が複雑になる、という理由で。
「共有は最悪手」と見られている。でも、その最悪手こそが究極の解決法、最善手です。土地を家族信託すれば「ベストな答え」に変えられるのです。
子が受託者として土地を管理すると、土地は金銭と同様の“わけやすい資産”に変わります。母は実質的にも税務上も所有者ですが、土地の処分などの管理者は(信託したことにより)受託者に替わっているので、母親が認知症などで意思能力を失っていたとしても、信託契約書の方針通り受託者が署名・ハンコの主となりますから売買に何の障害も生じないのです。
それどころか、❶母の老後の安心と❷2次相続の税負担軽減を考慮に入れて、「最善の持分」を見つけて相続することができるのです。

 

母を守る受益者連続信託

いったん「認知症」を忘れてもらったのですが、認知症は円満相続を破壊します。
これまでの日本では、夫が多くを所有。より少ない資産しかない妻の認知症は、あまり「問題だ」とは思われませんでした。
しかし今の相続では、意思能力の存否は大問題。遺産分割さえ難しくなります。
遺言を書いて遺産分割協議を何とか回避しても、遺産を手にした妻はお金を動かせません。
この問題、もちろん家族信託が解決します。
夫が委託者、妻を2番目の受益者にして娘が財産管理します(受益者連続福祉型信託)。
父なき後、母の認知症が深刻になり施設に移り、その環境に慣れたら自宅を売却。
受託者が、老後の両親のくらしを守り抜きます。
本書では、「夫婦を守る受益者連続信託」を家族信託のプロトタイプと考え、詳しく紹介しています。

 

家族信託は二刀流

家族信託は家族間の契約です。ふつうの家で、親と子が契約を交わすなんて滅多にないでしょう。(借用書くらい!? すぐに反故になりそうですが)契約に似た証書が「遺言書」です。遺産の分け方の指示ですから重要文書。家族信託は遺言より決まりが精密です。誰もが条項を守らなければ意味がありません。甘えなし!です。
だから家族信託は、家族の意思が一致して作ることが大前提です。
《おやじが暴走しておかしな遺言を書いたので、家族が崩壊した》なんてことは、あってはなりません。
信頼する受託者がいてこその家族信託です。受託者任せにせず、他に兄弟姉妹がいるなら、その人も受益者代理人などになって“両輪”で高齢の親御さんを支えるというのが家族信託の在り方だと思います。
家族間に信頼関係があれば、これ以上の強みはありません。
認知症対策相続対策――家族信託はまさに“二刀流”として機能してくれます。
「家族信託」はこれまでは知名度が低く、今ようやく「認知症=凍結回避」の観点から注目されはじめました。
でも、認知症対策だけの機能を買って家族信託ではコスパが悪すぎるのではありませんか?。
家族信託は、円満相続のためにも使えるツールです。活用してほしいです。

 

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『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』
著者・ジャーナリスト 石川秀樹

<最終更新:2022/11/24>

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この記事を書いた人
石川秀樹 行政書士

石川秀樹(ジャーナリスト/行政書士) ◆静岡県家族信託協会を主宰
◆61歳で行政書士試験に合格。新聞記者、編集者として多くの人たちと接してきた40年を活かし、高齢期の人や家族の声をくみ取っている。
◆家族信託は二刀流が信念。遺言や成年後見も問題解決のツールと考え、認知症➤凍結問題、相続・争族対策、事業の救済、親なき後問題などについて全国からの相談に答えている。
◆著書に『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』。
◆近著『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』。
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