★母が認知症になったら、 脳障がいの兄をどう守る!?《家族信託の事例》

家族信託

50代のA子さんから、以下のような質問メールが寄せられました。
母82歳、兄58歳独身。ふたりは同居しています。

 

母のすることは最近、危なっかしい


高齢の母(要介護1)と、高次脳機能障害を負った兄が、2人で暮らしてます。
私は結婚して母の近くに住んでいます。二人の介護をしていますが、
親戚は私を批判することがあっても、全く力にはなってくれません。
母のすることが最近は危うく見えて、還暦が近づいた兄の行く末が心配です。

 

兄を2番目の受益者にする家族信託


お母さんは認知症の初期症状かもしれませんね。
でも、自分のことさえ分からないほど症状が進んでいるわけではないでしょう?
ついさっきのことを忘れることはあっても、あなたと日常会話ができるし、ATMも今のところ大丈夫。
ならば大丈夫。お母さんとあなたが家族信託の契約を結べば、ふたりを守れるでしょう。

 

「守りたいのは兄のことなのに、母と信託契約を結ぶのですか?」といわれそうですね。
そうなんです、お母さんが委託者として、あなたに財産を信託するんですよ。
あなたが受託者。そしてこれからはお母さんの財産を、あなたが管理するようになるんです。

 

もうひとつ肝心なこと。
脳に障害を負ったお兄さんを2番目の受益者にするんです。
この信託の本当の狙いは、「お母さんの認知症発症への備え」ではなく、
お母さんが亡くなってからも、お母さんの遺した財産でお兄さんの生活を守る、という点にあります。

 

受託者は財産管理のための“執事”

高次機能障害の兄を守る信託

 

イラストを見てください。お母さんは委託者。そして最初の受益者になります。
あなたはお母さんから信託された財産を受託者として管理します。
お母さんの認知症による口座凍結リスクを、あなたが財産管理になって防ぎます。
ここまでは、典型的な認知症対策信託です。

 

お母さんのお金と不動産を「受託者A子」の名前で管理します。
財産の所有権を、母から受託者A子さんに移すんです。
「A子」ではなく、「受託者A子」という“特別な人”に所有権が移ります。
なぜ“特別”か。受託者A子は、お金や不動産を託されただけで、「自分のもの」にはできません。
この点「受託者A子」は、純粋な所有者である「A」とは立場が違います。
「受託者A子」は、いつも信託した人(つまり委託者母)のために管理します。
具体的に言えば、❶お母さんに自宅に住んでもらい❷お母さんに定期給付、また❸医療費や介護費用などを必要なときに、信託財産の中から支払うことになります(何をするかは「信託目的」に拘束されます)。

 

ようするに、民法における「代理人」と同じようなことをするんですが、そういうことができる根拠が「人」ではなく、「物の管理者が誰か」ということに移った、ということになります。
言葉を換えれば、「受託者A子」はお母さんの財産を管理することだけに特化した“執事”のようなものです。
執事は、受益者のために信託財産を使ってなにくれとなく面倒をみる役目です。

 

親なき後に大切な人を守る信託

以上が「信託する」とはどういうことか、の説明です。
さて今回は、お兄さんを母死亡後の2番目の受益者というのが“キモ”です。
信託財産はお母さんのマイホームと現金等の金融資産でした。
母の存命中、財産は凍結されることなく、必要なときに母のために使うことができました。

 

その母が亡くなり、受益権は兄のものとなります。
財産管理のための執事であるA子さんは、今度は兄のために財産を使うことになります。
なにもせずに母の認知症が進行すれば、銀行口座の凍結は必至でした。
そうなれば、資産はあるのに「意思能力」を問題にされて動かせず、母と兄は共倒れになっていたはず。
先手を打って、お母さんの財産を家族信託に寄り“安全な所に隔離”したのは正解でした。

 

今度は、母が遺してくれた信託財産で、脳機能障害の兄の生活を守ります。
「母の信託受託者」A子さんは、同じ立場のまま兄のための財産管理の執事を務めます。
兄に渡された受益権は、❶実家に無償で住み続けること、❷生活費の定期給付、❸医療・介護等の費用を随時給付されること、そして、信託金融資産が乏しくなったり、兄が施設で介護施設に入居するような時には、❹実家を売却して、その金銭から給付を受けること――です。
「親なきあとに大切な人を守る信託」、家族信託の代表的な活用法の1つです。

大きなお金を使えるお金に換えておく

この信託にもし難しい点があるとすれば、お母さんが信託財産を作れるかどうかです。
認知症が進んでいない今なら、定期預金の解約や株や投資信託等からの撤退もできるでしょう。
ただし、急いでください。「預金凍結」に遭ったら、もう何もできません。
お母さんも例外ではなかったと思います。日本のお年寄りは、本当に定期預金好き。
銀行や郵便局に言われるまま。
老後のために大事な大事なお金をいつまでも、大きなお金にしたまま。
どうか、間に合ううちに大きなお金を”使えるお金”に換えておいてください

 

今の銀行は、「認知症」に対してやさしい対応はしてくれません。
『いつの間にこんなに”差別的”になってしまったのか』と驚くほどです。
認知症の不安が少しでもあるなら、「定期預金」は即刻やめて普通預金に置き換えてください。

 

あなたの管理の方がうまくいく!

もしお母さんの認知症が進んで成年後見人を付けてしまったとしたらお兄さんはどうなるでしょう。
成年後見人は「本人(お母さん)の財産を守るため」にしか働きませんから、お兄さんはお母さんから得ていた手厚い保護を受けられなくなります。
お母さんが亡くなると、後見の任務は終了し、遺った財産を兄妹で相続します。
その時のお兄さんの財産管理については、お母さんに付いた後見人の仕事ではありません。
お兄さんの問題はお母さんの存命中も死後も、成年後見では何も解決しません。

その点、家族信託なら(生前は)お母さんとお兄さんのために、お母さんが亡くなった後はお兄さんのために、使えるようになります。
母と兄のための財産の“執事”はあなたです。
認知症が危ぶまれるお母さんには限界がありますが、今のあなたならふたりの将来を守れます。
もしかしたらお母さんは、自分でする財産管理にこだわりがあるかもしれませんが、兄のための財産管理までを念頭に入れるなら、これからの財産管理はあなたが買って出るべきです。
お母さんを説得してください。
家族信託は「契約」ですから、お母さんに契約能力があるうちに。
急いでください。

静岡県家族信託協会 石川秀樹

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石川秀樹石川秀樹

石川秀樹

石川秀樹(ジャーナリスト/行政書士) ◆静岡県家族信託協会を主宰 ◆『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 家族信託より成年後見』の著者 ◆新聞記者40年。61歳で行政書士試験に合格。 ◆「お悩みを聴かせてください。大丈夫、解決できますよ」が信念。

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