
2022.01.07
《家族信託は全国対応しています》★信託の契約書作成とコンサルティング/受託者への支援
実家の父が認知症!? 心配だから家族信託をしたいけれど、近くに専門家が見つからない。どうしよう……。 こんな方、少なくないのでは? 誰に相...
2022.01.07
実家の父が認知症!? 心配だから家族信託をしたいけれど、近くに専門家が見つからない。どうしよう……。 こんな方、少なくないのでは? 誰に相...
もっと家族信託! 石川秀樹のブログです
「家族信託の契約は『認知症』と診断されたらもうダメですか?」
との相談がよくあるものですから、今年3月1日、こんな記事を書きました。
★家族信託の契約は「認知症と診断されたら即アウト」ではありません!
あれから7か月、状況はさらに厳しくなってきているので記事を全面改訂。
不動産の信託と認知症、「保佐相当」の診断が出れば即アウト!です。
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前回はこんなイラストを示しました。
「a」は正常
「b」は補助相当
「c」は保佐相当
「d」は成年後見相当
として「cの常況にいる人と信託契約できるかが『悩ましい』」と書きました。
気持ちとしては『信託契約をする意味が本当にわかる人なら、粛々と進めてあげたい』と思っていたのです。
しかし、現実的には「それは難しい」ということが最近、はっきりしてきました。
診断書の「保佐相当」にチェック(✔)が入っている場合、司法書士は不動産登記の手続きを拒否するからです。
先日、土地の売買をめぐってこんなことがありました。
売主の現在の常況を司法書士に話して登記の可否を打診したところ、前向きな返答をもらえたので家庭裁判所提出用の診断書を見せたところ、即座に「これは無理」と断られてしまったのです。
司法書士の判断の決め手は7番目の項目「判断能力判定についての意見」だったようです。
□ 自己の財産を管理・処分することができない。(後見開始相当)
☒ 自己の財産を管理・処分するするためには、常に援助が必要である。(保佐開始相当)
□ 自己の財産を管理・処分するするためには、援助が必要な場合がある。(補助開始相当)
□ 自己の財産を単独で管理・処分することができる。
2番目の「保佐開始相当」に✔が入っているのを目にした途端、診断書を私に返し
「無理ですね」
「保佐」と「補助」の違いは「常に援助」か「たまに援助」かの違いですが、文言以上に大きな差があったようです。
司法書士は売主本人に会っていない段階でしたが、即断でした。
『本人に会ってもいないのに断るのかよ!』
と一瞬、私はムッとしました。
そのすぐ上には「HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)」の記述があり、「21点」とあるのです。
点数の評価について長谷川和夫博士自身が「30点満点中20点以下だと“認知症の疑い”となり、21点以上を非認知症」と解説しているのです。
ギリギリセーフと言える点数です。
それでも医師は、「補助相当」ではなく、一段重い「保佐相当」にチェック(✔)を入れました。
医師に根拠があったのかどうか。
無難に、より重い方に✔を入れたとしか思えません。
この1行の違い、実に大きいです。
これで売り方・買い方双方が同意のハンコを押した土地売買契約が、宙に浮きました。
釈然としない気持ちがあったため、東京、横浜、静岡の司法書士3氏にも同じ診断書を見せ、手続きの可否を問いましたが、結果は同じでした。
これでわかったこと―――
裁判所提出用の診断書に「保佐開始相当」のチェック(✔)が入っている場合は「登記しない」、というのが“業界標準”になっている(らしい)、ということです。
本人を実際に見ないまま判断するのはいささか乱暴だ、と私は思います。
しかし、法令順守を旨とする士業なら、医師の判断を無視できないことは確かでしょう。
理屈を言えば、本人の常況が本当に「保佐相当」であるかどうかの判断は医師でも難しい、だから自分の目で確認して決めるべきだ――、とは言えますが、正直いって、それ以上追及する気にはなれませんでした。
断らなければ唯一の基準は「(司法書士である)自分の判断」となります。
もし裁判になって「医師とあなたの判断と、どちらを信ずべきですか?」と裁判官に問われれば、こちらに勝ち目がないことは明らか。
残念ですが、安全策をとる他ありません。
前回、「イラストcの常況にいる人と信託契約できるかは微妙」とした私の判断を撤回します。
「保佐相当」と医師が判断した時には、この土地売買契約に大きな支障が出る、ということです。
それは家族信託契約でも同様。
私が独自の判断をして契約書を書き、委託者と受託者が公証人の面前で「家族信託契約公正証書」を締結したとしても、委託者から受託者への「所有権移転登記」と「信託の登記」ができなければ、不動産を信託財産とすることはできません。
空っぽの契約書を作っただけ、になってしまいます。
少なくとも、自宅などの不動産を信託したいと思うときには、委託者の常況が「健常」か「補助相当」の軽い認知症にとどまっていることが、必須の条件となります。
近い将来に不動産絡みの課題を持っている人は、認知症のサインを甘く見てはいけません。
思い切って、早めに家族と信託契約を結んで「安心」を確保してください。
◆金融資産と認知症と家族信託の関係についてこちらもご覧ください。
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静岡県家族信託協会
ジャーナリスト石川秀樹(相続指南処、行政書士)
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